TWO SIDES OF WARMTHムートンジャケットの汚れ・変色ケア革の表面と内側の毛を一緒に整える
襟の毛に触れると、冬の暖かさを思い出すムートンジャケット。久しぶりに広げてみたら、表面の色ムラだけでなく内側にも汚れがあることに気づくかもしれません。革の面と毛の面を持つ一着を、どう見立てて整えるのか。茶色いジャケットの施工写真から考えます。

ムートンにも、表面の仕上げはいろいろ
ムートンというと起毛したスエードのような表面を思い浮かべるかもしれません。しかし、革の表側に加工を施したものなど、見え方や手触りは製品によって異なります。今回の写真は、茶色い革面と黄色い毛を組み合わせたジャケットです。素材名だけで一律に処置を選ぶことはできません。
光沢、擦れ、色ムラ、塗膜の状態を確認し、雨に濡れたことや保管中の変化などの経緯も伺います。黒っぽいからすべて雨ジミ、白っぽいからすべてカビと決めつけず、写真と実物で見立てます。革の状態によっては、洗浄や着色で対応できる範囲が限られる場合もあります。


雨の跡と、革の色の変化を混同しない
ムートンという名前から、すべてが同じ起毛の表面だと思われることがあります。しかし、表面の仕上げは製品ごとに異なり、今回の写真のようにコーティングされた革と内側の毛が組み合わさるものもあります。水が付いた跡なのか、汚れなのか、表面の摩耗や退色なのかは、見た目だけでは決められません。
濡れた経験がある場合には、その時期と乾かした方法をお知らせください。一方、原因が分からない変色を「雨ジミ」と決めつけて処置する必要はありません。今の表面の状態、内側の毛、縫い目や付属部分を確認し、洗浄と色を整える作業をどう組み合わせるかを検討します。
袖の色を整える前に、革の状態を知る
袖は曲げ伸ばしや接触が多く、表面の変化が出やすい場所です。掲載の写真でも、縫い目の周りや折れる部分に濃淡が見られます。付着した汚れと色そのものの変化を分け、洗浄後にどのような状態が残るかを確かめます。
必要に応じて色補正を検討しますが、厚く覆えばよいわけではありません。革のシワや柔らかさも仕上がりの一部です。今の表面加工に合う方法を選び、薄く色を整えて全体とのつながりを見ます。素材自体の裂けや深い劣化は、着色だけでは修復できません。


内側の毛は、もう一つのお手入れ面
着用すると汗や皮脂が触れる内側は、外から見えない分、点検を後回しにしがちです。今回は毛のある部分に黒い汚れが見られました。革面とは構造も汚れの残り方も異なるため、それぞれを確認しながら一着として扱います。
洗浄の方法だけでなく、すすぎや乾燥、毛並みの整え方まで検討します。表面が乾いて見えても、厚みのある部分の状態は別です。写真のような改善がすべての品物に起こるとは限らず、色やにおいが残る可能性、手触りへの影響も含めてご案内します。


水に濡れたら、熱で取り返そうとしない
雨に濡れた場合は、乾いた柔らかな布で水分を受け止め、強く擦らないようにします。急いでドライヤーや暖房器具に近づけると、硬化や変形につながる場合があります。陰干しを基本にしつつ、濡れた範囲や変化を相談してください。
市販のクリームも、表面の仕上げによって合うものが違います。スエード状の部分に油分を重ねたり、カビが疑われる場所へ除菌剤を直接吹きかけたりする前に、適合を確認しましょう。すでに処置した場合は、製品名と使った範囲が見立ての助けになります。
次の冬の予定と、残したい手触りを
袖を通したときに内側が硬く感じる、襟まわりの毛が寝ているなど、着用感の変化も相談の材料になります。写真では伝わりにくい触り心地を言葉で補ってください。洗浄で整う汚れと、長年の摩耗や素材そのものの傷みは区別して考える必要があります。
保管は湿気がこもらず、強い光の当たらない場所で。肩を支えるハンガーを使い、周りに詰め込みすぎない余白も作ります。ときどき表裏を広げて確認すると、変化を早めに見つけやすくなります。
ご依頼には全体、襟、袖、内側、素材表示の写真を添えてください。フェイクムートンは天然の羊毛皮とは扱いが異なり、表面が剥がれるなどの劣化には同じ修復方法を使えません。まず素材を確かめ、また着たい季節に向けた洗浄・色補正・仕上げを相談しましょう。

ムートンジャケットの汚れ・変色ケアのご相談から
Q.ムートンならどれも同じ方法で洗いますか?
表面加工や毛、染色、劣化状態により方法が変わります。表裏の写真でご相談ください。
Q.内側の黒ずみも対象ですか?
内側も確認します。付着した汚れか変色かによって対応範囲が異なります。
Q.人工のムートンも染め直せますか?
天然皮革と同じ方法では扱えません。組成表示と剥がれなどの状態を確認します。
あの暖かさを思い出したら、表も裏も相談を。
全体・襟・袖・内側・表示の写真と、気になる色や手触りをお聞かせください。
対応できる方法と仕上がりは、お品物の状態によって異なります。写真で判断できない点は、現物確認後にご案内します。
