ぬいぐるみの足裏を、近い柄で直す材料探しと縫製の手仕事
子どもの頃から一緒にいるクマの、擦り切れたチェックの足裏。似た布を探し、補強を入れ、縫い目が表から目立たないように整える。洗浄だけではない、ぬいぐるみのお直しをご紹介します。

洗浄と修理は、それぞれの状態から
ぬいぐるみは、生地と中綿、目鼻などの部品が組み合わさっています。汚れを落とすことと、弱った部分を直すことでは必要な作業が違います。デアでは、洗浄とお直しの両方をご相談いただけます。
手洗いには無添加天然石けんと水を用い、状態を見ながら進めます。写真のクッションは中綿入りの布製品の作業例で、ぬいぐるみと同じ個体の工程ではありません。素材と中材に向き合う洗浄の考え方をご覧いただくための例です。


似た姿でも、残したいことはそれぞれ
全体をきれいにしたい、今の顔を変えたくない、中綿の柔らかさを残したい。お直しに求めることは持ち主によって異なります。洗浄や綿交換を始める前に、ご希望を共有することを大切にしています。
昔の写真がある場合は、その姿を参考にできます。写真と実物を照らし合わせることも、顔や形の印象を確認する手がかりになります。ただし、生地の伸びや劣化、材料の違いによって、完全に同じ状態へ戻せない場合もあります。


頭の生地を傷めたクマのお直し例
頭の部分が傷んでしまったクマの比較写真では、処理前の傷んだ箇所と、修理して毛並みを整えた箇所をご覧いただけます。表面を隠すだけでなく、使い続けるためにどんな補修が必要かを考えます。
修理では、元の生地や毛足、色にできるだけ近い材料を探すことが大切です。ぴったり同じ材料が手に入らないこともあるため、見た目と耐久性、元の雰囲気のどこを優先するかを相談します。

擦り切れたチェックの足裏
長年一緒に過ごしたクマは、小さい頃に足を引きずるようにして遊んでいたため、足裏のチェック生地が傷んでいました。この柄も見慣れた姿の一部です。単に丈夫な布へ替えればよいとは限りません。
できるだけ近いチェックを探して、工房が見つけたのはエプロンでした。洋裁用の反物に限らず、柄や色の近いものを見て、修理に使える材料を検討した例です。思い出の印象を残すために、材料探しから手仕事が始まります。


薄綿を挟み、形を支える
選んだ布は、足裏のサイズに合わせて裁断します。そのまま貼るのではなく、薄綿を挟んで芯にすることで、必要な厚みと支えを持たせました。元の足との大きさやふくらみのバランスも確かめます。
材料が近くても、厚みが違えば触り心地や形が変わります。見た目、強度、縫い付ける周囲の状態を合わせて考える工程です。補強した部分だけでなく、隣の古い生地が耐えられるかも確認します。

表から目立たない縫い方で仕上げる
足裏は、縫い目が表へ目立たないように、丁寧にすくい縫いで合わせました。新しい部分だけが浮いて見えないよう、輪郭や左右のバランスを見ながら整えます。
写真では、破れていた足裏から、近いチェック柄で整えた足裏へと変わった様子をご覧いただけます。元と全く同じ材料ではありませんが、大切にしてきた印象を残すための選び方と作業の例です。

「ここは残したい」を、お知らせください
お直しは、すべてを新しくすることだけが答えではありません。残せるところ、交換したいところ、顔や手触りの希望を伺い、状態に合う方法を検討します。
全体と傷んだ部分の写真、サイズ、過去の修理や洗濯の履歴をお送りください。クリーニング料金と修理料金はそれぞれ確認できます。大切なぬいぐるみをこれからもそばに置けるよう、必要な手入れを一緒に考えます。

ご依頼前に確かめたいこと
同じ柄の布がないと直せませんか?
近い材料での補修を検討できる場合があります。全く同じ色柄が用意できないこともあるため、残したい印象や使える布の候補を相談して進めます。

