MOLD CASE / CARE JOURNALバッグと布靴のカビを見つけたら除去と色の修復を分けて考える事例
クローゼットを開けたら、バッグの内側に白い跡。布靴をきれいにしようとして、今度は色がまだらに。カビへの対応は、洗浄だけで終わらないこともあります。二つの品物を通して、汚れと色の変化を分ける大切さをお伝えします。

カビの跡と、色が抜けた跡は違う
白っぽい跡や斑点を見つけたとき、汚れを落とせば元の色に戻ると思いがちです。しかし、カビによる変化と、薬剤や摩擦で色が抜けた状態では対応が異なります。汚れを落とす工程と、失われた色を整える工程を分けて考える必要があります。
まずは全体と気になる箇所の写真を撮り、強く擦ったり薬剤を重ねたりする前に相談を。すでに手入れをした場合は、使った製品と方法をお知らせください。現在の状態を理解する大切な情報になります。
内側へ広がった、バッグのカビ
モノグラムバッグは、外側だけでは分からない内側にカビが見られました。バッグは一つの製品の中に複数の素材が使われ、縫い目や接着部分もあります。カビのある面だけを単独の布のように扱えないことが、作業の難しさにつながります。
この例では、周辺の素材や色への影響を見ながら処置を行い、内側を整えています。写真の変化は個別の施工結果です。生地の傷みや色の変化が残る可能性もあり、どこまで対応できるかは現物の確認を踏まえて判断します。



自分で落とした後、青がまだらになった靴
デニム地のエスパドリーユは、カビ取りを試した後に、表面の色がまだらになった状態で届きました。汚れだけなら洗浄を考えますが、この場合は色の修復も課題です。最初に丁寧にクリーニングし、その後に布地へ補色を行っています。
布は色の入り方が均一になりにくく、織り目や縫い目の見え方にも注意が必要です。ブラシを使い分けながら、全体の色合いを整えていきます。深い青が戻ったこの例でも、すべての素材や脱色に同じ方法が使えるわけではありません。


箱へ戻す前に、湿気のたまり場を見直す
バッグの口を閉じたまま、雨に濡れた靴を収納したまま。空気が動きにくい場所に湿気が残ると、手入れ後もまた問題が起こりやすくなります。戻ってきた品物をしまう前に、棚や靴箱を掃除し、風の通りを確保しましょう。
乾かす際は直射日光や強い熱で急がず、素材の案内に合う場所を選びます。革は色や硬さ、布は縮みや色移りなど、気をつけたい点が異なります。カビが目立つ品物を室内で強く叩いたり、他の品物と擦り合わせたりしないようにしてください。

「直せる?」の相談に、履歴を添える
ブランド名、素材、全体写真、内側、底、気になる箇所をお知らせください。雨に濡れたのか、長く保管していたのか、以前に補色しているのかも参考になります。バッグと靴を一緒に相談する場合も、品物ごとに情報を分けると分かりやすくなります。
カビを取ることと色を戻すこと、その後の保管を整えること。順番に考えれば、何を依頼したいかが明確になります。大切な品物をまた使うために、今できる対応を確認しましょう。

カビを見つけたときの相談メモ
Q.市販のカビ取り剤を使ってしまいました。相談できますか?
はい。製品名や使った場所、処置の時期をお知らせください。色抜けや素材への影響も確認します。
Q.布靴の色抜けも直せますか?
補色を検討できる場合がありますが、素材や加工、脱色の状態によります。必ず元どおりになるとは限りません。
落とすことと、色を整えること。その先まで。
バッグや靴の全体と内側の写真、試したお手入れの内容を添えてご相談ください。
対応できる方法と仕上がりは、お品物の状態によって異なります。写真で判断できない点は、現物確認後にご案内します。
