毎日着る洋服にトラブルはつきもの。
ダメージを残さないためには早めの対処が必要なのですが、ちゃんと洗っていたはずの大切なブラウスやシャツの首元、襟、わきに、いつの間にか汗ジミの黄ばみができてしまうこともあります。
洗濯しても取れない汗ジミは家庭では落とせないのでしょうか?
ブラウス・シャツが黄ばんでいた!
ブラウスやシャツを着るとき、あるいは脱ぐときに襟元やわきのシミをチェックしていますか?
これらは汚れやすい部位だけど自分では見えにくいところなので、シミに気がつかないまま着続けていることもあります。
でも、特に襟は他人からは見えやすい部分ですし、わきも電車のつり革につかまっている時などは人目につきやすいものです。
汗ジミによる黄ばみは1年中発生する可能性があるのですが、特に汗をかきやすい夏は気になるのではないでしょうか。
汗には種類がある
私たちの汗は99%が水分でできています。残りの約1%のほとんどは塩分で、そのほかにはごくごく微量のミネラル成分や老廃物が含まれています。
汗を出す器官のことを「汗腺」と言いますが、この汗腺は「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
エクリン腺は全身のほとんどの皮膚の表面にあります。その数は200万〜500万個で、エクリン腺からでる汗はほとんど無色でにおいもありません。
そのため、汗をかいてすぐの状態であれば汗臭さはありません。
アポクリン腺は主にわきに集中しています。汗は乳白色をしていて、人によっては強いにおいを発することがあります。これがいわゆるワキガの臭いの原因です。
汚れの蓄積で黄ばむこともある
わきの部分に黄ばみが発生しやすいことから、「汗ジミ=ワキガ」と言われることがあるのですが、必ずしもそうとは限りません。
確かにアポクリン腺から出る汗が衣類についてしまった場合、そのままにしておくと黄ばみや臭いの原因になります。
しかし、エクリン腺から出る汗が汗ジミにならないのか?と言われたら、決してそうではないのです。
蓄積によって黄ばみが起こる
暑い季節には朝から汗をかくものですが、衣類をすぐに洗うことはできませんよね。1日中汗をかいた服であっても洗濯できるのはその日の夜か翌日の朝ということは普通のことですが、この間に汗汚れはどんどん蓄積されていくことになります。
また、人間の体からは汗だけではなく皮脂も分泌されます。
皮脂はアブラなので洗濯しても落としきれないことがあり、衣類に蓄積されていきます。この蓄積汚れが徐々に酸化することで変色して黄ばみや黒ずみになってしまうのです。
普通に生活をしているだけで、誰の衣類にも汗ジミ、臭い、変色は起こってしまうことがあるのです。
汗ジミ(黄ばみ)の落とし方
衣類がすでに黄ばんでしまった場合でも、諦めないでくださいね!
家庭でも簡単にできる緊急メンテナンス方法をお教えします。
ちなみに、黄ばみ・汗ジミはドライクリーニングでは落ちにくい汚れになります。
できるだけ水洗いをした方が良いので、まずは以下にご紹介する方法で洗ってみてください。
石鹸・おしゃれ着洗剤で緊急対応
まずはいつも使っている洗剤の原液を塗ってブラッシングする方法を試してみてください。
ステップ1:洗剤を直接塗る
石けん、おしゃれ着用洗剤などの原液を黄ばみに直接塗ります。
ブラウスなどのおしゃれ着ならおしゃれ着用洗剤を使ってください。
石けん洗濯をしているなら石けんを塗ります。粉末の石けんの場合は40℃〜60℃のお湯でペースト状にして塗りつけてみてください。液体タイプの石けんならシミ部分に原液をかけます。
ウタマロなどの固形石けんなら、少し水をつけて塗りこむようにしましょう。
ステップ2:短時間放置します
そのまま5分ほど放置してください。
ステップ3:ブラッシングします
歯ブラシなどで、シミを叩くようにブラッシングしてみてください。
ステップ4:洗濯機で洗濯
洗濯表示に合わせていつも通り洗濯をします。
この方法で落ちなかったら、酸素系漂白剤を試してみましょう。
酸素系漂白剤で緊急対応
酸素系漂白剤は色柄ものの衣類に使える漂白剤です。使い方の幅が広いので常備しておくととても便利ですよ。
シミに塗布してつけ置きする方法もありますが、ここではブラッシングで黄ばみを落とすプロの方法をご紹介します。
ステップ1:酸素系漂白剤をブラシでつける
液体タイプの酸素系漂白剤(原液)をカップなどに入れて、歯ブラシに取ります。
黄ばみが気になる部分にブラシで塗っていきます。
シャツの下にはタオルをしいておきましょう。
ステップ2:短時間放置します
そのまま5分ほど放置してください。
ステップ3:ブラッシングする
歯ブラシなどでシミを叩いてブラッシングします。
ステップ4:洗濯機で洗濯
洗濯表示に合わせて、いつも通り洗濯をします。
酸素系漂白剤を使えばある程度のシミは落ちると思いますが、もし落ちなければ次の温度を上げる方法もあります。
温度で勝負!酸素系漂白剤にお湯とドライヤーを組み合わせてみる
酸素系漂白剤は「40℃〜60℃」で最も効果を発揮するので、酸素系漂白剤をお湯で溶かしてさらにドライヤーで部分洗いする方法もご紹介します。
この方法は効果が高いのですが、それだけ衣類にも負担がかかりやすい方法なので慎重に行ってくださいね。
ステップ1:黄ばみをお湯+洗剤で洗ってブラッシング
まずは黄ばみ部分にお湯をかけて洗剤をつけます。
タオルをしいて衣類をのせて、洗剤が馴染んだ部分をブラシでトントンと叩きます。下にしいたタオルに汚れを移すように叩いてください。
ステップ2:酸素系漂白液を作ってシミに塗る
粉末タイプの酸素系漂白剤を40℃くらいのお湯で溶かします。
酸素系漂白剤の量は小さじ半分くらいで大丈夫です。小皿などに入れて、お湯を少しずつ注ぎます。お湯の量は酸素系漂白剤が溶ければOKです。
この時必ず酸素系漂白剤の中にお湯を注いでくださいね。
酸素系漂白剤をお湯で溶くだけなので「混ぜるな危険」ではありませんが、最初だけシュワーっと泡が出ます。
酸素系漂白剤の漂白液ができたらシミに塗ってください。
ステップ3:ドライヤーで温度を上げる
熱を加えてさらに漂白効果を高めます。
漂白液を塗った部分にドライヤーの温風を当てます。漂白液が乾いてくるので、残っている液をかけてドライヤーを当てるというステップを5回ほど繰り返します。
ステップ4:洗濯をする
いつもどおり洗濯をします。漂白液がシミにならないように、なるべく早く洗うようにしましょう。
塩素系漂白剤で緊急対応(慎重に!)
ハイターやブリーチなどの塩素系漂白剤は酸素系漂白剤とは異なり、色柄ものや生成りの衣類に使うことはできません。
基本的には丈夫な生地を真っ白に洗い上げたいときに使う漂白剤になります。
▼塩素系漂白剤が使える生地
コットン(綿)、麻、ポリエステル
※いずれも白い生地のみ。生成りも不可です
使える以外は限られますが、例えば真っ白のレースカーテンなどが本当に真っ白に洗いあがるので、上手に使えば気持ちが良いですよ。
塩素系漂白剤を使ったシミ抜きはこちらの記事「コットンパンツに赤ワインをこぼした!汚れた白デニムの洗い方」に詳しく記載しています。失敗しないためにも実践前に必ずご覧下さいね。
汗ジミ(黄ばみ)を残さないためには?
汗ジミは、放置して蓄積することで濃くなって変色していきます。
なるべく汗ジミによる黄ばみを発生させないためにはどうすれば良いのでしょうか。
こまめに洗濯をする
汚れていないように見えても、1度着た衣類には汗や皮脂などがしっかり付着しています。
短時間しか着ていないからといってそのままクローゼットにしまわずに洗濯することをおすすめします。
また、スプレータイプの消臭剤では汗ジミは消えません。シミと臭いの原因を根本から落とす方法は、やはりこまめなお洗濯になります。
洗う前の「洗剤・石鹸の直塗りブラッシング処理」は効果的
着るたびに洗濯をしているのに、わきが黄ばんでくる、襟元が黒ずんでくるということもあります。
変色の原因は複数あるのですが、黄ばみが発生しやすい部位から考えると皮脂などの分泌物からの汚れが落ちきれていないことが考えられます。
皮脂はアブラなので水で落とすことはできません。そのため特に冬場の水が冷たい時や、洗剤が足りていない、洗剤が溶けきっていない状態で洗濯をしても落ちきれずに残ってしまいます。
黄ばみが気になりやすい衣類は、洗濯機で洗う前に「石鹸・おしゃれ着洗剤で緊急対応」でご紹介した「洗剤の直塗り&ブラッシング」を行うととても効果的です。
この下処理をしてから洗濯することで、黄ばみの原因となる汚れの蓄積を防ぐことができます。
汗ジミ(黄ばみ)を落とす時に気をつけたいこと
汗ジミ(黄ばみ)は、早い段階であれば落とすことができますが、家庭でのお洗濯では限界もあります。
いちばん気をつけたいのは、大切な衣類を傷めないことでしょう。
家庭では落とせない汗ジミ・黄ばみもある
黄ばみ落としのために家庭でできることの限界は、漂白剤を使いこなすことです。
今回ご紹介したつけ置き、温度を上げる、歯ブラシでこするなどを試してみてそれでも落ちない場合は、自分で洗うことを潔く諦めましょう。
また汗や黄ばみはドライクリーニングでは落ちにくいとお伝えしましたが、ではカシミアやアンゴラなどのドライマーク指定の衣類は、どうやって汗汚れを落とせば良いのでしょうか。
水洗いもできないしドライクリーニングでも落ちないとなるとお手上げ状態です。
こういう時は、デアのクリーニングサービスに依頼することも検討してみてください。
デアは宅配で一般衣類のクリーニングを受け付けていますので、全国どこからでもご相談いただけます。
ドライマーク指定の衣類はもちろんですし、洗濯表示が全部×(バツ)になっているような超デリケートな衣類もクリーニング可能ですのでぜひご相談くださいね。
<ご参考>ワイシャツ・スーツ・コート・ダウン・セーターなど一般衣類クリーニングのデア
長期保管前の汗ジミ・黄ばみチェックは必須!
衣替えで夏の衣類を長期保管する時には、シミや黄ばみがないことを必ずチェックしてください。年に1回しか着ない浴衣も襟や袖を確認してみてください。汗ジミや食べこぼしのシミが残っているかもしれません。
シミを発見したらシミ抜きを試してみて、落ちないようであればデアのクリーニングサービスにお任せください。
来シーズンまで残ってしまうと、ますます落としにくくなってしまいますよ!