革靴の色補修やかかと修理など、手入れを専門に手がける職人を今日はピックアップ。
普段なかなか見ることのできない革靴の色あせ補修作業の様子をお届けします。
均一にスプレーするのではなく、トントントンと少しずつ色を重ねていく手染めの様子は、まるで女性にメイクしているよう。
革靴を履きこんでゆけばどうしても避けて通ることのできない色あせや擦れ傷の汚れ。
職人が手染めで色補修して元の色へと近づけます。
染め替え、染め直し、色補正、色補修などとさまざまに呼ばれていますが、クリーニングのデアでは元の色へと塗り重ねて補正するサービスを、「RE」+「COLOR」=『リカラー』と呼んでいます。
リカラーは、黒や茶色の靴クリームなどを駆使してご自宅で手入れしているのにきれいに仕上がらない!すぐ色が落ちる!
そんな手を焼く革靴におすすめです。
仕事用に人気な革靴ブランドREGAL(リーガル)クリーニング
職人が色あせ補修するのはREGAL(リーガル)の茶色い革靴です。
REGAL(リーガル)を仕事用の革靴として履き続けているファンは多く、ビジネスシューズに革靴を履かれる方は誰もが知っていると言っていいほど定番の人気革靴ブランドです。
あまりにも日本のビジネスシーンに溶け込んで、目立つ存在とされていないREGAL(リーガル)ですが、その主張し過ぎない安定感の背景には100年以上の歴史と、基軸がぶれることのない伝統工法など「真のトラディショナル魂」があり、日本のビジネスパーソンを足元からたくましく支えて続けています。
なんとこの量産化の時代に、REGAL(リーガル)ドレスシューズの約9割が日本国内生産であることは衝撃の事実でしょう。
仕事用の革靴として履かれる人も多い分、色あせたり傷がついたりと酷使したREGAL(リーガル)の革靴がクリーニングのデアへも集まってきます。
今回色あせ補修するREGAL(リーガル)の茶色い革靴も、使用による全体的な色あせで、元々のキャメルのような茶色が退色してしまっています。
革靴にひそむ臭いやカビ汚れを徹底除去
まずは革靴の中にひそむ臭いやカビ汚れを徹底除去してしっかりと土台を整えていきます。
靴やバッグなどの皮革製品に優しいとされる、弱酸性の環境に設定した特殊室で12時間から24時間じっくりと除菌・消臭したあと、タンパク質、脂質、さらにはコラーゲンなどの栄養分を与えながら優しい弱酸性水でクリーニングします。
汗を含む革靴の中敷きも、取り外すことができるものは別にして丸洗いします。
しっかりと洗い終えたら専用乾燥室で陰干し。革を傷めることなくじっくりと時間をかけて乾燥することで、革靴にひそむ臭いやカビ汚れの除去効果をさらに高めます。
定期的に革靴クリーニングすることで、清潔に長くお使いいただけます。
水洗いクリーニングの様子は、UGG(アグ)のお手入れが1分になる!ムートンブーツの水洗いでもご紹介しています。
革靴の色落ち・色あせを職人手染め補修する
全体的に色あせた革靴のリカラーをする場合、霧状に噴霧するエアブラシガンで作業する方法がありますが、クリーニングのデアでは革靴の職人手染め補修を採用しています。
革靴本来の、適度に履き込んだ風合いを残しながら細部まで色を重ねていくことができる職人手染め補修は、自然な仕上がり感がおすすめです。
革靴の部分的な擦れ傷汚れにもおすすめ
擦れ傷汚れが付くとどうしても目立ってしまうこちらのREGAL(リーガル)のような明るい茶色の革靴も、色をなじませて目立たないように職人が手染めしていきます。
お預かり時の革靴の全体的な色あせや部分的な擦れ傷汚れを、モニターで確認しながら慎重に手染め作業を進めていきます。
革靴の全体に塗り重ねる色作り「調色」は仕上がりを左右するため大変難しく、職人技が光ります。
革靴乳化性クリームは補色、リカラーは着色
革靴の片方のみ色あせや傷が気になる場合でも、両足お預けください。
革靴の左右の色を合わせながら着色し、土台作りをしていくのがリカラーです。
やり直しがきかない技術を要する職人手染めのリカラーは、革靴の全体的な色あせを補修をして毎日の革靴手入れを簡単にします。
ご自宅で革靴手入れする際に使われる、黒や茶など色のついた乳化性クリームとは役割が異なります。
乳化性クリームは、革靴の水分と油分のバランスを整える役割に補色の機能をもたせたタイプです。
持続性がないので、今回のREGAL(リーガル)のように全体的に色あせてしまった革靴へは塗り直しが頻繁で大変です。
一方で、乳化性クリームは色味が合わなかったり厚塗りになってしまった場合でも汚れ落としのリムーバーで落とすことができるので、革靴に栄養を与えながら気軽にオリジナルのグラデーションを楽しむことができるでしょう。
靴クリームの前に用意したい革靴手入れ道具2つ
色あせ補修など、リカラーを終えて自宅に戻ってきたあとの革靴手入れの方法を、クリーニングのデアへ時々お問い合わせいただきます。
リカラーで上に色を染め重ねたあと、色落ちを防ぐ「色止め」をして仕上げているため、一般的な革靴手入れの方法で問題ありません。
革靴全体の色あせ補修をして土台作りをしているので、もう履くたびに靴クリームで色を補う必要はないでしょう。
色あせ補修した革靴や新しく購入した革靴のためにこれから革靴手入れ道具を揃えるのであれば、靴クリームの前に用意したい2つが「シューキーパー」と「靴ブラシ」です。
おすすめ革靴手入れ道具〔シューキーパー〕
上の写真は、我が家で使用しているシューキーパー。何年前から愛用しているのか覚えていないですが、まだまだ現役です。かかとや甲回りの形状など、お使いの革靴に合わせて選ばれるといいと思います。
シューキーパーは、靴のアイロンのようなもの。
革靴の履きしわを伸ばして形を整えた革靴は、アイロンされたワイシャツのように毎日のビジネススタイルをグッと引き締めます。
できれば木製のシューキーパーがおすすめ。
靴の中にこもる湿気を木が吸い取るので臭い対策になる優れものです。
おすすめ革靴手入れ道具〔靴ブラシ〕
我が家で毎日使用している靴ブラシです。こちらも長く使っています。
帰宅して1日の軽い汚れをササッとはらったり、履くときにツヤ出しのためにブラッシングをしたり。靴クリームで磨くときに使う靴ブラシとは別にしています。
革靴手入れ道具を揃えなくとも、たとえばツヤ出しであればストッキングで代用できます。
我が家でも革靴手入れの仕上げに使いますが、パーツの境目など細かな箇所のほこりをかき出したり、スエードやヌバックなどの起毛素材のほこり落としには、やはり靴ブラシが便利です。
今日おすすめした革靴手入れ道具2つは、すぐに消耗したり壊れたりするものではないので、お気に入りを揃えるのもいいかと思います。
手入れされた革靴があなたを印象づける
職人手染めの色あせ補修をして仕上がったREGAL(リーガル)の革靴がこちら!
全体的な色あせは元の色へ限りなく近いところまで染め上がっています。
履き馴染んだシワが適度にありながらも光沢感のある手入れされた革靴は、小慣れていてとてもおしゃれ。
購入したばかりの新しい革靴には醸し出すことができない風格です。
手入れの行き届いた革靴はとても清潔感があり、足先にまで気を配ることができる「きちんとした人」「おしゃれな人」というイメージを印象づけます。
革靴の手入れをしているところは普段ひとの目に触れる機会がないのに、驚くほどに人の目に留まるアイテムなのです。
初対面の取引先、初めて立ち寄るお店のスタッフや、たまたま電車の中で居合わせた人。
いわゆる「あなたのことをよく知らない人たち」も、手入れされた革靴を見てあなたに好印象をもつでしょう。
クリーニングのデアが、革靴を除菌・消臭クリーニングして、色あせや擦れ傷汚れを職人による手染め補修。保湿されたしっとり・しなやかな革靴に仕上げます。