実践!家庭での洗濯禁止マークがあるウール100%のコートを洗濯機で洗ってみた

おしゃれ着やニット、コートなどなど、洗濯表示を確認すると「家庭での洗濯禁止」となっている衣類もあります。
クリーニング屋さんが言うのもなんですが、「そんなに汚れていないからクリーニングに出すほどじゃないんだけど・・・」という衣類も実際にありますよね。

そこで今回は家庭洗濯不可のウール100%のコートを実際に家庭の洗濯機で洗う方法をお伝えします。
家庭洗濯不可となっていても家庭で洗える衣類の目安もお伝えしていますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

目次

なぜウールは家庭洗濯不可なの?

洗濯表示
手持ちのウール100%コートの洗濯表示を確認してみると、以下のように指定されています。
・家庭洗濯不可
・塩素系漂白剤不可
・アイロンは120℃を限度とし、低い温度(80~120℃)でかけるのが良い
・ドライクリーニング溶剤は石油系のものを使用する
※旧洗濯表示です。

ウール100%ということで、洗濯表示の指定ではそもそも家庭で洗うことは避けるようになっています。

ウールが家庭洗濯できない理由は、水に濡れることで繊維が絡まってしまい縮むことがあるからです。
ウールが縮む仕組み
出典:東京都クリーニング生活衛生同業組合「羊毛(ウール)セーターについて」

ウールの繊維は表面がウロコ状になっています。乾燥している状態ではこのウロコは閉じているのですが、水に濡れると開くという性質があります。
洗濯によって衣類が動いて擦れてしまうことで開いたウロコ状繊維が絡み合ってしまい、ギュッと縮んだり繊維そのものが硬くなることがあるのです。
この現象は「フェルト収縮」と呼ばれています。

なぜクリーニング店なら洗うことができるの?

ウール100%の衣類は、一般的なクリーニング店ではドライクリーニングを施します。
ドライクリーニングは水を一切使わずに専用の有機溶剤でクリーニングしていく方法です。
ドライ溶剤でウールが濡れてもウロコ状の繊維は閉じたままなので、フェルト収縮を気にせず洗うことができるのです。

ウールを洗濯するポイントと注意点

ウール100%の衣類を家庭で洗濯する時のポイントがこちです。

・ゴシゴシ洗いは避けて、できる限り物理的な力を加えないこと
・ネットに入れて洗うこと
・洗濯機で洗う時間は短くすること。それに水量はたっぷり
・干す時は「平干し」で干すこと
・半乾きの状態で乾燥機にかけるとふんわりと仕上がります
・ニットは蒸気でやさしくアイロンをかけると細かいシワが消えてふっくらに!

家庭洗濯不可のウール100%コートを洗ってみます

では、ウールコートを洗っていきます。

ステップ1:下準備をします

【下準備】
・えり、袖などの汚れが気になるところがあったら、水で濡らして液体石けんをつけてブラシでポンポンと叩いておきます。
・コートは裏返して軽くたたんだ状態で洗濯ネットに入れておきます。
ウール100%の洗い方

▼下準備のポイント
初めてご家庭で洗濯するウール製品は、最初に採寸しておくという方法もあります。
最初に測っておけば伸び縮みした時に簡単にわかって対処ができるので、ぜひ採寸してみてください。

ステップ2:洗剤液を作ります

今回は天然石けんで洗うので、洗濯機に洗剤液を作っておきます。
水量に合わせた石けんを溶かしていくのですが、ここでポイントです。
いつもはぬるま湯で石けんを泡立てている方も、ここでは水(常温の水)を使ってください。
ウールだけでなくポリエステル、アクリル混紡などのニットなどもお湯ではなく水で洗ってくださいね。
また、おしゃれ着を天然石けんで洗う時は、助剤が使われていない洗濯石けんを使用してください。

洗濯機に低水位まで水を入れて回しながら石けんを入れます。粉末石けんの石けんカスが不安な場合は液体の洗濯石けんを使ってみてください。
または柔軟剤ポケットに小さじ1杯のクエン酸と大さじ1杯の水を入れておくと、石けんカスの付着を予防できます。
2〜3分回しているとモコモコした泡ができるので、ここで1度回転を止めます。
ウール100%の洗い方

コートを入れて、適量まで注水して水位を上げます。
衣類が水に浮いていたら、手でやさしく押して洗剤液の中に沈めてください。
ウール100%の洗い方

▼水位のポイント
常温の水で洗っていくので、石けんのとけ残りが出ないようにたっぷりの水で洗います。
コートが水の中でやさしく泳ぐくらい水位は高めに設定してください。

▼合成洗剤を使うときのポイント
合成洗剤を使う場合はエマールやソフランなどのおしゃれ着洗い用洗剤を使用してください。この場合も「水 → 洗剤」の順番に入れて、よく混ぜて洗剤液を作ってから衣類を入れてください。

ステップ3:「洗い」は短時間

洗濯機のモードを手洗いコース、またはドライコース、おしゃれ着コースなどのやさしく洗えるコースに設定して洗っていきます。

ステップ4:「脱水」は短めに!

脱水時間は1〜2分が理想です。(ウールのニットなら30秒)
脱水まで全自動で行うよりも、すすぎが終わった段階で1度洗濯機を止めて脱水時間を調節すると安心です。

ステップ5:「日陰の平干し」で干す

干す時はハンガーにはかけずに、日陰に平干しで干してください。
平干しのやり方

ステップ6:半乾きの状態で乾燥機にかける

これはお好みで試してみてください。
平干しで半乾きの状態まで乾いたら、乾燥機やドラム式洗濯機の乾燥機能を使って10〜15分ほど乾かします。
これを行うとウールがふんわりと仕上がりますよ。
半乾き状態まで乾いていればフェルト収縮がおこることはありません。

ステップ7:アイロンで仕上げ!

これもお好みで試してみてください。
ニットのシワが気になるときや、毛足をふっくらさせたい時はアイロンのスチームを使います。
アイロンを押し当てると繊維が寝てしまうので、生地に軽く触れる程度に当てながら蒸気をかけていきます。

縮みをチェックしてみましょう

お洗濯が好きな方や、お洗濯で失敗したことがある人ほど、
「家庭洗濯不可なのにホントに水洗いできるの?」
「おしゃれ着用洗剤を使わなくていいの?」
「ホントに縮まない?ゴワゴワしない?」
などの疑問があると思います。

こちらは洗濯前に採寸した状態です。
身頃の縦が約102cmで、横は約58cmです。
ウール100%の洗い方

続きまして、こちらは脱水が終わった直後の干す前の採寸です。
ウール100%の洗い方
まだ濡れている状態なので全体的に生地がしまっているように感じられますが、伸びも縮みもありません!

もし縮んでいるように感じられたら、干すときに縦・横・ななめに軽く伸ばして整形した状態で平干しをしてみてください。

こちらは完全に乾いた後の採寸です。
家庭洗濯不可の洗い方
横は約58cmですが、縦が101.8cmくらいでした。
ほんの少し短くなっているようにも感じられますが、丈が長いコートなので誤差の範囲かな?と思います。着てみても全く気にならない程度でした!

ウールをもっと簡単に洗いたい時の裏技

ニットやコートをシーズン中に1度洗いたい時や、シミなどの目立つ汚れはないけどタバコや焼き肉店で付着した匂いが気になる・・・という時にもっと簡単に洗えるとっておきの裏技もご紹介します。
平日の仕事が終わった後でも、お風呂に入りながらできる実用的な洗い方です。

ステップ1:浴室で衣類にシャワーをかけます

浴室で、ウール全体にシャワーの水をかけます。
お湯ではなく水を使ってくださいね。

ステップ2:洗剤を染み込ませます

バケツなどに洗剤液を作って、ステップ1で湿らせた衣類を浸します。
洗剤液が衣類に染み込むようにやさしくそーっと押して、しばらくそのままつけ置きをします。

摩擦を極力避けるためにあまりギュウギュウと手で押し込みたくないので、バケツにコートが入らないようであれば浴槽に洗剤液を作って沈めてください。

ステップ3:シャワーですすぎます

洗剤液から取り出して、シャワーの水ですすぎます。
シャワーの水流だけですすいでいくので、洗剤が残らないようにチェックしながらすすいでください。

ステップ4:脱水します

浴槽のふちに衣類をかけて、自然にポタポタと水が垂れる状態にしておきます。
しばらく置いて水気が切れてきたら洗濯機で30秒だけ脱水してください。

ステップ5:平干しで干します

干す時は平干しで干すと型崩れを防げます。
8割程度乾いたら様子を見ながら10分〜15分ほど乾燥機にかけて、アイロンで仕上げてみてください。

【最後に】ウール100%の衣類でも洗わない方が良いものもある

今回洗ったコートは裏地がないはおりものだったのですが、真冬にしっかりと着るようなボタン、フード、ポケットがついているウール100%のコートも同じ方法で洗うことができます。

水洗い不可の衣類を初めて洗う人でも実際にやってみると意外と簡単だった!と思える方法をご紹介しましたが、やはりアパレルメーカーが家庭洗濯をおすすめしない衣類を洗濯機で洗う作業になるので、失敗するリスクはゼロではありません。

ウールの洗濯に失敗するとどうなるかというと、最初にご紹介したとおりフェルト収縮がおこってしまい、縮む、ゴワゴワして肌触りが悪くなる、生地が硬くなるなどの現象が発生してしまいます。

ウール100%であってもご家庭で洗わない方が良い衣類はこちらです。

・脱水、乾燥が難しく、自分では元の状態に戻せないもの
・型崩れが不安なもの
・一生着ていきたいような一級品
など

ご家庭で洗えない衣類は宅配クリーニングのデアにおまかせください

これらの衣類は自分で無理して洗おうとせずに、宅配クリーニングのデアにぜひご相談ください。

一般的なクリーニング店では、ウール100%の衣類はドライクリーニングで洗います。
ドライクリーニングはフェルト収縮の心配はないのですが、水溶性の汚れが落ちないので汗による汚れや匂いをしっかり落とすことはできません。

汗や汚れが多いウールのクリーニング、宅配クリーニングのデアでは、ドライクリーニングしたあと、柔らかい水洗いをするダブルクリーニングで処理します。
油性の汚れだけでなく、繊維の中に染み込んだ汗、匂いの元もしっかりと洗い流せます。
袖通しがよく、買ったばかりのフワフワの着心地がよみがえります。

⇒ワイシャツ・スーツ・コート・ダウン・セーターなど一般衣類クリーニングの料金

専門知識が豊富な職人が1点1点状態をチェックしながら洗っていきますので、もちろん縮みやゴワつきの心配も一切不要です。
せっかくクリーニングに出すのであれば、気になる汚れをスッキリ落とせるウェットクリーニングのプロがいるお店にお任せしてみませんか?
ご家庭で洗いにくい衣類は、宅配クリーニングのデアにお気軽にご相談くださいね!

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