大切な着物、見た目には変わらなくても、裏地や比翼(ひよく)に、うっすらと黄ばみやカビが広がっていた…。そんな経験はありませんか?
着物は、見える部分が美しく保たれているほど、「内側の傷み」に気づきにくいもの。とくに梅雨を前にした今の時期は、湿気によるダメージが最も起こりやすいタイミングです。今回は、目立たない部分の変色やカビを未然に防ぐためにできること、そしてプロによる着物クリーニングの重要性についてお伝えします。
裏地や比翼、八掛…。見えない部分こそ湿気の影響を受けやすい

着物の裏地や比翼(比翼仕立て)、八掛(裾裏)などは、普段の着用時にはほとんど見えない部分です。しかし、だからこそ注意が必要で、湿気がこもることで繊維の奥にカビが発生しやすく、さらに汗や皮脂が残ったままになっていると、時間の経過とともに黄ばみや変色となって表れます。
特に絹素材の着物は、わずかな湿気でも繊維が影響を受けやすく、「触っていないのに、いつの間にか変色していた」というご相談を多くいただきます。
梅雨入り前が着物メンテナンスのベストタイミング
湿度が高くなる梅雨に突入すると、着物の保管環境は一気に悪化します。しかもカビや黄ばみは、表地ではなく裏地から広がっていくケースがほとんど。気づいた頃には一部が変色していたり、着用できない状態になっていたりすることも…。
だからこそ、本格的な湿気シーズンに入る前の「今」こそが、着物の点検とクリーニングに最も適した時期です。
収納の通気性、見直してみませんか?
「ちゃんとたとう紙に包んで保管してるから大丈夫」
そう思っていても、たとう紙自体に湿気がたまり、逆にカビの温床になっていることもあります。着物を何枚も重ねて保管している場合や、桐箪笥の中でも空気がこもりやすい状態では、湿気対策としては不十分です。
理想的なのは、風通しの良い環境で適度に空気の入れ替えができる収納。そして、最低でも年に一度は中身を確認し、状態をチェックする習慣を持つことが大切です。
デアの着物クリーニングなら、見えない部分まで丁寧にケア
黄ばみやカビの予防には、「仕舞う前のクリーニング」が非常に重要です。とくに裏地や比翼など、汗や皮脂のたまりやすい箇所には、プロの目と技術が欠かせません。
デアでは、
・着物全体の状態を丁寧に検品
・素材や汚れに応じた繊細な処置
・裏地・八掛・比翼部分まで、しっかりと汚れや湿気を除去
といった、高級素材にも対応できる専門的なクリーニングを行っています。見た目の美しさを保つだけでなく、長く安心して着続けるための基礎ケアとして、クリーニングをご活用いただければと思います。
きれいな着物を長く保つために今できることを
着物は、ひとたび変色やカビが広がってしまうと、完全に元の状態に戻すことは難しくなります。だからこそ、「問題が起こる前にケアする」ことが、最も賢い選択です。
今年の梅雨は、着物の裏地や比翼に意識を向けてみませんか?