事例002 着る予定にしていたニットが洗濯機で!

日々、どこかで起こっている服の緊急事態!

私たちクリーニングのデアは、宅配クリーニング店という立場から、さまざまな状態の服の相談を受けます。

「大事なコートに飲み物や食べ物の汚れがついてしまった!」
「洗濯に失敗して、ワンピースがいたんでしまった!」
「乾燥機にかけたら、大事なシャツがヨレヨレに…!!」
「夏が終わったら汗ジミと変色でシルクのブラウスがダメになってしまった…!」
「うっかりジーンズと一緒に洗ったらカットソーに色移りが…!!」
「口紅がカーディガンについてしまった…!!」


「大事な服なのに、うわあ~、やってしまった!!!」

そういったときに「デアさん、どうしたらいいですか?」「これをしたらキレイになりますか?」というお問い合わせもよくいただきます。

シンプルで単純なことですが、「正しい方法で洗濯して乾燥させる」こと、「シミや汚れがついたら正しい対処をする」ことが、服のために一番大切なことです。

服にトラブルを起こさないため、服にトラブルが起きてしまったときにはなるべくダメージを少なくするために、正しい服とのつきあい方を知っておいたほうがいいのです!
具体的な事例で、しっかりと正しい服とのつきあい方を知り、ながくお気に入りのお洋服を楽しみましょうね。

目次

着る予定にしていたニットが洗濯機で!

二宮秀子さん(仮名)37歳は、1週間後の子供のピアノの発表会のために、自分の服の準備をしていました。

選ぶのに悩みましたが、発表会の日に着ることにしたのはカシミヤとウール混紡のベージュのニットと、ラベンダー色のフレアスカートです。

特にベージュのニットはこの冬に奮発して買ったもので、大事なお出かけやおめかしのときにはよく着ていました。

ピアノの発表会の前に、ベージュのニットは少し洗っておこうと思い、洗濯機で洗うことにしました。

大事なおしゃれ着なので本来ならばクリーニング店に出すか、手洗いをしたほうがいいのはわかっていました。
しかし、時短勤務で仕事もしているワーキングママである二宮さんは、もうすぐ下の子供の保育園のお迎え時間なので、すぐにクリーニング店に出しに行くという余裕も、いまゆっくり服を手洗いしているようなヒマもありません。

二宮さんは、ニットを全自動洗濯機に入れて、(おしゃれ着用洗剤を切らしていたので)普通の洗濯洗剤を投入し、スイッチを入れて、急いで保育園のお迎えへ出発しました。
二宮さんは保育園のお迎えから帰宅して、洗濯の済んだニットを洗濯槽から取り出し、ニットを干しました。

ニットが乾いたので取り込んだ二宮さんは、服のトラブル・緊急事態に直面します。

お気に入りのベージュのウール・カシミヤ混紡ニットが、すっかり縮んでしまっていたのです!

普通に洗濯機でニットを洗っても、まあ大丈夫だろう、と二宮さんは思っていたのです。
大事なベージュのニットをクリーニング店に持っていけばよかった、手洗いをすればよかった、と後悔することになってしまいました。
しかし覆水盆に返らず。
急遽、子供のピアノの発表会に着る服はあまり気に入っていない紺色のワンピースに変更するはめになってしまいました。

こういったケースでは、カシミヤとウール混紡のニットの正しい洗い方、縮んでしまったニットの応急処置法をきちんと知っておくことが大切ですね。

洗濯機で縮んでしまったニットの“2つの応急処置法”


「カシミヤとウール混紡ニット、ウール100%ニットなどが洗濯で縮んでしまった!!」という場合には、2つの応急処置を試してみましょう。

1つ目は柔軟剤を使う方法。
2つ目はスチームの出るタイプの家庭用アイロンで処置する方法です。

柔軟剤を使っての応急処置をまず試した後、まだニットの縮みが改善しない場合には、アイロンのスチームを使っての処置も行ってみてくださいね。

「柔軟剤」を使って、縮んでしまったニットを元に戻す応急処置法

まずは市販の柔軟剤を使って、縮んでしまったニットを応急処置する方法を見てみましょう。

  1. 洗面器/タライなどに水をため、規定の量より濃くなるように柔軟剤の量を加減して投入します。よく水を混ぜて溶かします。
  2. 縮んでしまったニットを、柔軟剤を溶かし入れた水にしっかりとつけます。そのまま10~15分ほどつけ置きします。
  3. つけ置きが終わったら優しくニットをしぼり、バスタオルなどでおさえて水気を大まかに取ります。(30秒の設定で、洗濯機で脱水を行ってもOKです。)
  4. 風通しの良い日陰で、平らにして干します。ハンガーに濡れたままニットをかけてしまうと、どうしてもニットが伸びてしまいますので、平らにして干す「平干し」をしましょう。(市販されている平干し用のニットハンガーを使うと簡単です。)

この柔軟剤を使う応急処置法は、繊維を滑らかに整え、繊維どうしの絡まりをほぐして軽減する、柔軟剤の持つ作用を利用したものです。

柔軟剤に含まれるシリコン成分が、繊維の表面をコーティングして滑らかにしてくれるので、絡まってフェルト状になってしまったウールの縮みを改善する効果があります。

この方法でもまだニットの縮みが改善しない場合は、次にご紹介する、「縮んでしまったニットをスチームの出るタイプの家庭用アイロンで応急処置する方法」も試してみましょう。

「家庭用アイロンのスチーム」で、縮んでしまったニットを元に戻す応急処置法

縮んでしまったニットの、もう一つの応急処置法は、家庭用アイロンでスチームをあてて処置する方法です。

  1. アイロン台に縮んでしまったニットを広げて置きます。
    この時点では、ニットのどこをどのように伸ばしたいのか、もとのサイズ感はどうだったのかをしっかり意識しておきましょう。
  2. 家庭用アイロンのタンクに水を入れて、スチームが出せるようにしておきます。準備ができたら、アイロンをニットから浮かしながら、アイロンのスチームをニットにあてましょう。ニット全体にたっぷりと蒸気をあてて、少ししっとりとさせるようにします。
  3. スチームから出る熱に注意しながら、手で少しずつニットを伸ばし、形を整えます。左右によくニット生地を伸ばし広げ、ニットの細かい編み目に余裕を持たせるイメージで。
  4. 全体にスチームをあてながら伸ばすことを繰り返し、元のサイズ感に戻ったら、形を整えて応急処置完了です。

※この作業は1人で行うこともできますが、手伝ってくれる人がいる場合には、2人で行った方が合理的です。2人で作業を行う場合には、1人がアイロンでニットにスチームをあてておき、1人がニットを伸ばしていくと効率的に処置を行えます。

しかし、これらの応急処置をきちんと丁寧に行ったとしても、縮んでいたんでしまっているニットは思うように元に戻らないこともあります。

また、プロがクリーニングをしてくれるクリーニング専門店であっても、縮んでいたんでしまったニット・セーターの復元の依頼は、一部のクリーニング店を除いて、通常は受け付けてくれません。

洗う時に「正しいニットの洗い方」を実践できてさえいれば、縮まないでニットをキレイにすることができたのです。

次は、ニットがいたんだり、縮んでしまったりしないよう、正しいニットの洗い方をマスターしておきましょう。

お気に入りの一枚をいためないで洗う“家でできる、ウールのニットの正しい洗い方”

ウール混紡のニット製品やウール100%のセーターは、「そもそも原料の性質から縮みやすい」と言えます。

ウールは羊の毛が原料ですが、羊の体を守って体温を保つため、雨が降ったときには雨が毛の中に染み込まないよう、毛の繊維が自然に縮んでフェルト状になります。

つまり、もとからウールは羊の体を守るため縮みやすい仕組みになっているので、そのためにウール混のセーターなどは、水で洗ったときに雨と触れた時と同じに縮んでしまうのです。

しかし、正しいニットクリーニングや正しい洗い方であれば、縮むこともいたむこともなく、大事なウールのニットをキレイにすることはもちろん可能です!

家でできる、正しいウールのニットの洗い方とはどんなものでしょうか?
では詳しく見てみましょう。

ウールのニットを家で洗う時に用意するもの

  1. 洗面器やタライ(洗面化粧台の流しで行うなら不要)
  2. おしゃれ着用の液体中性洗剤(エマールなどウール対応のもの)
  3. バスタオル
  4. ぬるま湯(必ず40℃以下。理想的な温度は30℃程度)
  5. 平干し用のニットハンガー(持っている場合のみでOK)
  6. 洗濯ネット

家でできる、ウールのニットの正しい洗い方

  1. 洗面器/タライ/洗面化粧台の流しに30℃ほどのぬるま湯をはり、適量のおしゃれ着用液体中性洗剤をよくぬるま湯に溶かします。
  2. 優しくニットを手でつかむように手で洗います。手でつかんでは離す、という動作をくり返して、ニット全体を洗います。
    (強くもんだり、ゴシゴシとこすりあわせることは避けてください。ウール繊維がからんで縮みやすくなってしまいます。)
    3~5分以内で洗い終わり、すすぎ作業に入るようにしましょう。
  3. 2回ほど水を替えてすすぎます。2での動作と同じようにニットを手でつかんで離すことをくり返し、洗剤成分をすすぎ、流しましょう。
  4. 洗濯機で脱水します。洗濯ネットにニットを入れてから、30秒の設定で脱水をしましょう。
  5. いたみが気になる場合や、ゆるく編まれているニット・セーターは、洗濯機を使わず、バスタオルで挟むように水気をおさえて脱水しましょう。
  6. ニットが日焼けをしないように、日の当たらないところで、ニットを平らにして陰干しをします。ニットを濡れたままハンガーに干してしまうと、重みでニットが伸びてしまいやすいので、平らにして干す「平干し」をしましょう。平干し用のニットハンガーに広げて干すと簡単です。(平干し用のニットハンガーがない場合は、平らなところにキレイなバスタオルなどを広げておき、その上にニットを置いて平干ししましょう。)

「さらにニットをふっくら、プロ級のふんわり仕上げにしたい」というときの、ニットクリーニングのプロだけが知る“裏技”って!?

「ニット、セーターをふっくらさせたい、洗った後ぺしゃんこになりがちなので、ふんわりと仕上げたい。ニットをプロ級の仕上がりにしたい」と思ったときに、簡単に家で実践できる、ニットクリーニングのプロだけが知っている“裏技”を、特別にお教えしましょう。

家庭用乾燥機を使って、洗ったニットやセーターを仕上げるという方法です。

家庭用乾燥機の設定は、低温で服を乾燥させるデリケートモード・おしゃれ着乾燥モードを選択して、5分ほどだけという短時間の設定もしてからスタートボタンを押します。
低温のデリケートモード選択・超短時間設定というルールを守り、ニット・セーターを家庭用乾燥機でタンブリングするのです。

このタンブリング仕上げをすることで、寝ていたニットの毛の繊維がふっくらとふくらんで、ニットがフワフワになります。

一味違う「プロ級のニットの仕上がり感」を、自宅で簡単に味わうことができます!

ニットやセーターを正しく洗えたら、さらにふんわりとプロ級に仕上げられる“プロ直伝のタンブリング仕上げ”、ぜひお試しあれ。

「お気に入りのニット・セーターの洗濯、これだけは絶対に失敗したくない!」というときは?

大切な行事やイベントに着て行く予定にしているウールのセーター、お出かけやおめかしに着ようと思っているニット。

水洗いして手入れをして、さっぱりさせておきたいけれど、高価なものだったり繊細そうな素材のものだったりと、ニット/セーターを自分で洗うのが、やっぱりどうしても不安!という場合もあるでしょう。

そういう場合には、慣れないニットの洗濯をドキドキしながら自分でやるよりも、繊細で上質なニットやセーターを取り扱い慣れたプロのクリーニング職人のいるクリーニング専門店に依頼して、専門家にお任せしてしまいましょう。

クリーニング専門店のデアの宅配クリーニング

クリーニングのデアは、経験豊富なプロのクリーニング技術者がクリーニング工場に常駐し、ひとつひとつのニットやセーターの特性に合わせたクリーニングをご提供しています。

ご自宅で洗うのが難しそうなウール100%のウールニット、ウール混紡セーター、高級なカシミヤ・アンゴラ・ラクーンなどの混紡ニット/セーターでも、あらゆるニット製品と工場で長年向き合って誠心誠意のお手入れをしてきた、経験豊かなプロのクリーニング職人が丁寧にクリーニングをします。

また、洗濯やお手入れに失敗して縮んでしまったニット、セーターなどの衣類、縮んでしまったソファーカバーなどの、伸ばし・復元加工のご依頼も、デアは常時お受付しております。
ぜひ気軽にご依頼ください。(※伸ばし・復元加工ご依頼の際には、縮んでしまった衣類・ソファーカバーを何㎝くらい伸ばして復元したいという、具体的な数値・サイズを、デアにお知らせ下さい。)

インターネットでご注文をいただいた後は、ご指定の日取り/時間帯に弊社提携の佐川急便がニット/セーターを、ご自宅まで引き取りにうかがいます。(衣類の梱包のみお客様にお願いしています。印字済み荷札を持参しますので、荷札のめんどうな記入も不要です。)

お預かりする大切な予定を控えたニットやセーターを、きちんと清潔に洗い上げ、お客様のお手元まで宅配でお届けしますので(配送業者:提携佐川急便)、お仕事や育児や介護で時間の余裕がない・忙しい・クリーニング店に引き取りに行くことができないというご事情のあるかたにも、デアはいつでもご利用いただける宅配クリーニング・システムになっております。

ご注文はインターネットより、24時間365日お承りしています。
ニットやセーターの手入れやクリーニングにお困りの際は、ぜひデアにお声がけくださいませ。

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