実はサステナブル素材!「レーヨン」の特徴

サラッとしたシルクのようなブラウスやとろみのあるアロハシャツなどの洗濯表示タグをチェックしてみると「レーヨン」と書かれていることがあります。

レーヨンとはどんな生地なのでしょうか。

目次

レーヨンとは?


レーヨンはコットンなどの天然繊維ではなく人工的に作られた化学繊維になります。
原料は木材から精製したパルプで、アルカリで処理をして二酸化炭素と反応させるなどいくつか薬品加工を施して製造していきます。

レーヨンは再生繊維

よく知られている化学繊維にはポリエステルやナイロンもありますが、これらとレーヨンの大きな違いは、ポリエステル・ナイロンが合成繊維であることに対して、レーヨンは再生繊維であること。
レーヨンは木材パルプから再生された繊維なので、再度処理をすることで自然に戻すことができるんです。
加工処理をしたレーヨンを土に埋めると微生物が水と二酸化炭素に分解することができますし、焼却すれば水とメタン(天然ガスの主成分)に分解することも可能です。
環境にも配慮された素材であることから「環境に負荷をかけない繊維」とも言われています。昔から存在する化学繊維だけどSDGsにも配慮されたサステナブル素材でもあるんですね。

レーヨン誕生の歴史

レーヨンは19世紀の後半に誕生したと言われています。
レーヨンは人絹(じんけん)とも呼ばれていて、もともとはシルクの代用として開発されました。
シルクは現在も高級素材ですが、当時は上流階級の人たちしか着用することができないくらい超高級素材でした。
そこでシルクに近い素材を安定して供給できて、一般市民でも手に入れることができるように人工的に絹を作ろうと開発されたのがレーヨンの始まりです。

最初のレーヨンは強度が弱く、また耐火性にも大きな問題があり燃えやすい生地でした。
現在は強度も耐火性も大きく改善され、シルクに代わる生地として様々な衣料品や寝具などに利用されています。

レーヨンの特徴


レーヨンは人工的なシルクとして開発された生地ですので、肌触りはシルクのような滑らかさ、柔らかさ、光沢がありながら、化学繊維の扱いやすさも兼ね備えています。
レーヨンの特徴をメリット・デメリットに分けてご紹介します。

レーヨンのメリット

柔らかい手触りとシルクのような光沢

シルクのような手触りの良さはレーヨンのいちばんの特徴です。
レーヨンは非常に細い糸を織って作られるので、軽くてやわらかくサラッとした手触りをしています。
見た目もシルクのようなツヤがあるので、上質なブラウスやアロハシャツの素材にもピッタリなのです。

吸収性と放湿性が良い

レーヨンは素材としても優れていて吸収性と放湿性が良いため、汗をかいてもすぐに吸収して湿気を放出してくれます。
長時間着用してもサラサラなので夏場の衣類にも最適ですし、意外と汗をかきやすい冬物衣料の裏地にも使われています。

美しいドレープが出る

ドレープは洋服の美しいヒダやたるみのこと。とても繊細で女性らしいシルエットを作ることができるので、ワンピース、スカート、とろみ感のあるゆったりとしたブラウスなどに向いている素材です。

シルクよりも安価です

レーヨンはシルクのような特徴を持ちながら、価格はシルクよりもお手頃になっています。
これも嬉しい特徴ですね。

レーヨンのデメリット

水に弱い

レーヨンの着用でいちばん気を付けたいのは水に濡れることです。
レーヨンは水に弱い生地で、水にぬれたまま扱いが悪いと水シミが発生してしまいます。

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家庭での洗濯にも注意が必要です。
レーヨンの詳しいお洗濯の方法については、また別の機会に家庭でできる超洗濯術でご紹介しますね。

熱に弱い

レーヨンは熱に弱いのでアイロンをかけるときは温度に気を付けて下さい。
一般の衣類であれば洗濯表示タグにアイロンの温度設定が書いてありますので、必ず確認して当て布をしてからアイロンをあてるようにしましょう。

シワになりやすい

レーヨンはシワにも注意が必要です。
洗濯表示タグに水洗いが可能と記載があっても、洗ってそのまま干してしまうと乾いたらシワシワになってしまった・・・ということもあります。

やや注意点も多いレーヨンですが、デメリットがより軽減された他の繊維との混紡レーヨン素材も開発されています。

レーヨンの種類


レーヨンは木材パルプから作られるのですが、使用する素材によって種類があり、名称が変わることがあります。

ビスコース

ビスコースはビスコース法という製法で作られたレーヨンの一種です。
自然素材の合成繊維としてはもっとも古い素材になります。

モダール

モダールはブナの木から作られる生地です。レーヨンは木材パルプが原料ですが、モダールはブナの木から取り出した植物繊維のみから作られています。

レーヨンと比べると水濡れによる強度が高くなっていて、水洗い可能な衣類もあります。(洗濯表示タグを必ず確認しましょう)
レーヨンの弱点を改良した繊維がモダールと言って良いかと思います。

リヨセル・テンセル

リヨセル・テンセルはユーカリの木から作られる繊維です。
どちらもユーカリの木材パルプから作られる再生繊維でレーヨンの一種なのですが、リヨセルはオーストラリアのレンチング社、テンセルは英国のコートルズ社の商標として使用されてきました。
この2社は2004年に合併して、現在はブランド名として「テンセル」「リヨセル」を使用しています。

ちなみに、リヨセル・テンセルは洗濯表示タグに「指定外繊維」と記載されています。

指定外繊維とは?

指定外繊維と記載されるケースは2種類あります。
ひとつは家庭用品品質表示法の「繊維の種類」「指定用語」に記載されている以外の繊維を使用しているとき。
対象となる繊維が新しいなどの理由で、家庭用品品質表示法で定義されていない場合に指定外繊維と書かれます。テンセル・リヨセルはこれに該当します。

<参考>消費者庁:繊維の名称を示す用語

ここには「レーヨン」の記載はあるのですが、「リヨセル」「テンセル」の記載はありません。
そのため、リヨセル・テンセルを使った生地には「(指定外繊維)テンセル20%」などとカッコをつけて記載されているのです。ほかにも竹繊維から作られる素材も指定外繊維になっています。(竹パルプ素材を除きます)

もうひとつの理由は、繊維の種類がわからないときです。
世界には本当に様々な繊維がありますので、洗濯表示タグをつける際にどうしてもわからないこともあるのでしょうね。

レーヨンの衣類は宅配クリーニングのデアにお任せ下さい

素材がわからない衣類はご家庭の洗濯機で普通に洗ってしまうと縮み、色落ち、型崩れなどのトラブルが起こってしまうことがありますのでクリーニング屋さんとしては自己流のお洗濯はおすすめできません。
レーヨン素材の衣類もお洗濯に不安がある衣類はぜひ宅配クリーニングのデアにお任せ下さいね。

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