2019/1/16放送「ヒルナンデス!」ぬいぐるみ修理取材の舞台裏 ~その1~

日本テレビ系列ヒルナンデス!の「宝物お直しセンター」のコーナーで、当店のぬいぐるみクリーニング・修理が取材されました。
<放送日:2019年1月16日(水)>

放送時には紹介しきれなかったデアの技術の舞台裏を含め、今回ご依頼のあったぬいぐるみの作業内容について、全3回に渡り詳しく解説していきます!

目次

思い入れのある3つのぬいぐるみ

今回お直しの依頼があったのは、ヒルナンデス!の「宝物お直しセンター」に寄せられたお品物です。
どれも20年以上愛用された思い入れのこもったぬいぐるみで、毎日一緒にいたからこそ、傷んでしまった部分がありました。

クリーニング・修繕作業のご紹介第1弾は、23年間愛用された犬のぬいぐるみ。
ご依頼者の方が3才の時にお祖母様からプレゼントされた、大切なぬいぐるみです。

型崩れしてしまった犬のぬいぐるみ

ぐったりしてしまったこちらのぬいぐるみ。
型崩れの原因の「中綿のヘタリ」以外にも、気になるポイントがたくさんありました。長年の汚れ、鼻先の剥げ、目元からの生地の飛び出し……
小さい頃からどこに行くにも一緒だったぬいぐるみは、手で持っていた背中の部分の毛が広範囲に渡って抜けてしまっていました。

当店ではお直ししたい気になるポイントは、事前に詳しいご要望をお伺いしています。
今回は番組「ヒルナンデス!」を通し、傷みの激しい箇所の修繕をご希望をいただきましたので、それに沿って作業をしていきます。

作業内容のご紹介

まずはクリーニング

まずは、汚れてしまったぬいぐるみをキレイにクリーニングします。
放送時にはお伝えしきれませんでしたが、当社のぬいぐるみクリーニングは水洗い&手洗いにこだわっています。

使う石鹸は、人体にやさしい天然石鹸。柔らかいブラシで細かい所まで洗っていきます。
そしてぬいぐるみに付く汚れは水溶性のものが多いので、丁寧に水洗いをしていきます。
機械洗いでは繊細な生地やパーツが傷んでしまうため、1つ1つのぬいぐるみを、クリーニング職人が手作業で洗い上げています。

乾燥させる時にも、熱に弱いぬいぐるみの素材を傷めないように、低温乾燥や自然乾燥で乾かして仕上げます。

ぬいぐるみの修理① 分解と中綿の取り出し

続いて、当社のお直し工房「リアンジェ」での修繕作業に移ります。

まずは、修理をするために中綿を取り出します。
ぬいぐるみの生地を傷つけないように、縫い目に沿って糸だけを切って分解していきます。

中からは大量の綿が出てきました。
古い綿には、目に見えないダニやホコリが隠れているので取り出して除去します。

ぬいぐるみの修理② パーツを直す

パーツを取り外し、お直しが必要な個所を修理していきます。
パーツはぬいぐるみの内側から縫い込まれているので、こちらも糸だけを丁寧に切って取り外します。

まずは鼻。
剥げてボロボロになってしまっていたので、生地ごと取り換えて、新しく作り直します。
損傷の激しいパーツから、元の形を見極めて新しい鼻を作ります。
今回の鼻パーツは、立体感を出すために「ダーツ」という技法を3か所に施して縫っていきます。

続いて、元気のなくなってしまった目。
特に右目のパーツは、瞼が取れて垂れ下がっていました。
こちらはぬいぐるみが元気だった頃の写真を元に、瞼の素材・大きさ・角度を精密に再現し、両瞼を埋め込み直しています。
ぬいぐるみのお顔は、一番目がいく場所です。
数ミリずれただけで違うお顔になってしまうので、一番神経を使ってお直しをしていきます。

ぬいぐるみの修理③ 植毛

こちらのぬいぐるみは、毛が抜けてしまっている箇所が多いお品物でした。
小さい箇所は、植毛をして直していきます。

長年愛用されてきたぬいぐるみの色は千差万別。
買ってきたばかりの頃とも違った、個性豊かな色合いをしています。

植毛の作業では、「今の色」に合わせるために複数の毛糸を選び、ミックスして植毛用の毛を作っています。
これを縫い付け、長さを揃えて、キレイに植毛を施します。

ぬいぐるみの修理④ 生地の取り換え

広範囲で毛が抜けてしまっている箇所は、植毛で直すことができません。
こういった場合は元のパーツから型を取り、新しい生地に取り替えます。 質感や色など、似た生地を見つけなければいけないのですが……実はこれが大変!
長年愛用されているぬいぐるみの中には、もう同じ素材が売っていないものもあります。
生地や反物を取り扱うお店だけではなく、衣類や雑貨など様々なアイテムを吟味して、なるべく似た素材を探します。

今回は、黒いブランケットからパーツを切り出しました。

ぬいぐるみの修理⑤ 新しい綿を詰める

各パーツのお直しが済んだら、中綿を新しい物に詰め替えます。

最初に筒状にした綿を入れて形を整えます。
その後で、筒の中を押し広げて更に綿を詰めていくことで、ふっくらとさせていきます。

今回のぬいぐるみの中身は元から綿でしたが、30年ほど昔のぬいぐるみ(ビンテージ品)は、潰れないように綿とスポンジを混ぜて詰めてある物もあります。
スポンジは経年劣化でボロボロになってしまい、アレルギーの原因になることもあります。
当社のお直し工房では、年月が経っても人体にやさしく、長い間一緒にいてもなるべく形を保っていられるようにと考えられた技法と材料を使ってお直しをしています。

完成!

最後に縫い閉じをし、毛並みをブラッシングで整えれば完成です!
ご依頼者の方には「毛が生えてる!すごい!と喜んでいただけました。
目次