フワフワのウール混紡ニットを気に入って買ったはいいけど、洗濯表示を見たら家で洗うことができなかった!
そんな衣類がクローゼットに眠っている方には、今回の記事が役に立つと思います。
実は、家庭洗濯不可のウール混紡ニット(毛混紡ニット)でも、手洗いをすれば家庭で洗濯することができるんです。
安全に洗える方法をクリーニングのデアがお教えします!
「混紡」って何?
混紡は2つ以上の素材を組み合わせてできた衣類のこと。ウール混ニットはウールと何か別の素材が組み合わせってできている衣類です。
組み合わせる理由は、素材の魅力を引き出しあいマイナス面を補うことができるからなのですが、近年は天然素材の価格が高騰しているという背景もあるかもしれませんね。
こちらは今回洗濯をする服の洗濯表示です。
混紡率はナイロン51%、毛44%、アクリル5%となっていますね。このように3種類の素材が混紡されている服は三者混と呼ばれています。
それぞれの素材の主なメリット・デメリットはこちらです。
メリット | デメリット | |
ナイロン | ・耐久性が高い ・弾力があり型崩れしにくい ・摩擦に強い ・シワになりにくく手入れが簡単 |
・熱に弱い(熱で溶けることもあります) ・吸湿性が低い ・静電気がおきやすい |
毛 | ・保温性が高く冬暖かい ・吸湿性が高く夏でも涼しく感じられる ・通気性が高い ・シワができても蒸気で元に戻りやすい ・染めやすく色落ちしにくい |
・摩擦に弱い ・水洗いすると縮んで硬くなりフェルト収縮がおこる ・伸びやすい ・虫がつきやすい ・繊維同士が絡まりやすい |
アクリル | ・保湿性が高い ・丈夫 ・虫食い、カビの心配が少ない ・シワになりにくい |
・静電気がおきやすい ・毛玉になりやすい ・吸水性はほぼありません |
ちなみに「毛」と「ウール」の違いは、ウールが羊毛であることに対して、毛は羊毛、アルパカ、カシミア、アンゴラなどの動物の毛全般を指します。
羊の毛なら「ウール」、羊の毛以外の動物の毛を含んでいる場合は「毛」と表示されていると思っておきましょう。
毛(ウール)は保温性と保湿性が高いのですが、水に長く浸かっていたり、洗濯機で摩擦が起こってしまうと縮んでしまい硬くなるという扱いにくさもあります。
化学繊維との混紡にすることで毛の良いところを保ちつつ、扱いやすさも生まれてきます。
また、ナイロンはとても軽くて光沢もあるので、毛との混紡にすると夏涼しく冬は暖かいという性質を保ちつつ、ふわっと軽く光沢感のある服になります。
ウール(毛)混紡ニットの洗濯表示をチェック
洗濯表示を確認してみると、このニットはかなりデリケートな洗濯が推奨されていることがわかります。ひとつずつ確認していきましょう。
そもそも家庭洗濯が不可となっていて、お洗濯はドライクリーニングを弱い処理で施すように指定されています。
でも、こういう手強い衣類を家庭で洗濯する方法をお伝えしてこそ、「家庭でできる超洗濯術」です!
ここでは家庭洗濯不可の衣類を水洗いする方法をご紹介します。
【お願い】リスク承知の自己責任でお願いします
ここでご紹介する方法は実際にやってみてうまくいったやり方ですが、いつでも100%うまくいく洗い方というわけではありません。
やはりアパレルメーカーが家庭での洗濯を推奨していない衣類を水洗いするわけなので、トラブルが起こるリスクはあります。
不安が大きい場合は無理して家庭で洗おうとせずに、ぜひデアにおまかせください。
デアではお洗濯のプロが衣類の素材や状態に合わせて1点ずつクリーニングを行いますので、他のクリーニング屋さんではドライクリーニングで洗ってしまう衣類も、天然石けんで水洗いできることもあります。
デアの水洗いならニットの品質を保ったまま、汗汚れ、皮脂汚れもさっぱり落とすことができるので、心地良い状態でお使いいただけますよ。
ウール(毛)混紡ニットを手洗いでお洗濯!
前回は家庭洗濯不可のウール100%のコートを洗濯機で洗ったので、今回は手洗いで洗ってみます。
洗濯機でウール100%の衣類を洗う方法は「実践!家庭での洗濯禁止マークがあるウール100%のコートを洗濯機で洗ってみた」に詳しく書かれていますので、ぜひご覧になってくださいね。
今回試してみるのは、「ウールをもっと簡単に洗いたい時の裏技」でご紹介している方法です。
この洗い方は本当にデリケートな衣類を物理的な力を加えないで洗う方法なので、他の丁寧に洗いたい衣類でも応用できますよ。
手順0:下準備をしましょう
▼サイズを測っておきます
家庭洗濯不可のような難易度高めの衣類を初めて洗濯する時は、水につける前にサイズを測っておきましょう。
脱水した後にもう1度採寸をして、縮んでいたらほんの少し伸ばしながら干すことでサイズを戻すことができます。
▼ニットをたたんでおきます
ニットは裏返して、軽くたたんでおきます。
▼洗剤液を用意しておきます
バケツなどに洗剤液を作っておきます。
洗剤はおしゃれ着用洗剤を使います。使用量は説明に記載されている量を使用します。
天然石けんでお洗濯をしている場合は、炭酸塩などのアルカリ助剤が使われていない石けんを用意してください。(ウールはアルカリに弱いため)
無添加天然石けんで洗う場合は、最後のすすぎのときに小さじ1杯のクエン酸を使うと石けんカスを予防できます。
ここで計量しておきましょう。
手順1:シャワーの水をかけます
シャワーの水をかけてニット全体を湿らせます。
この後洗剤液で洗っていくので、全体がしっかり濡れるまで湿らせます。
使う水の温度は常温にしてください。お湯を使うと縮んでしまいますので、必ず常温の水にしましょう。
手順2:洗剤液を染み込ませます
1度水を切って、あらかじめ作っておいた洗剤液にニットをひたします。
最初はニットが洗剤液に浮いてくるので、手で優しく沈めます。
ここでゴシゴシこすったり摩擦が起こると縮むことがあるのでご注意くださいね。
このまま少しだけつけおきをします。今回は5分ほどおいておきました。
5分経って様子を見ると、洗剤液が少し黒ずんでいました。汚れがちゃんと洗剤液に溶けたようです!
手順3:シャワーの水流ですすぎます
洗剤液を流します。
シャワーですすぎます。
すすぎはシャワーを当てながら洗剤を流していきます。
2回くらいはすすぎたいので、バケツに水がいっぱいになったら1度水を切って再度すすいでいきます。
石けんで洗濯をした場合は、次の2回目のすすぎのときにバケツにクエン酸を入れてシャワーの水をためます。
水の中に優しくニットを沈めながらすすいでいきます。
手順4:脱水します
この後、ほんの少しだけ洗濯機で脱水をするのですが、ここでできるだけ水を切っておきましょう。
浴槽のふちにニットをかけます。水がポタポタと落ちるので、この状態で自然に水を切ります。
ニットを軽くたたんで洗濯ネットに入れます。洗濯機に移して30秒だけ脱水します。
ネットを結んでいるのは、ちょうど良いサイズのネットがなかったからです。
大きめのネットに入れて、余分な部分を結ぶと衣類のサイズにあったちょうど良い大きさになりますよ。
手順5:日陰の平干しで干します
脱水が終わったら、すぐに日陰に平干しで干します。広げたら手のヒラでポンポンと叩いてシワをしわを伸ばしましょう。
ハンガーにかけてしまうと伸びてしまいますので、裏返して平干しで干してくださいね。
洗う前にサイズを測った場合は、この湿っている状態で採寸してみてください。洗濯前と比べて縮んでいるようであれば、全体をタテ・ヨコ・ナナメに軽く伸ばして干します。
今回はちょうど良くワイヤーネットとスタンドがあったので、スペースを広々使って干してみましたが、洗濯物を平らに干すことって意外と大変じゃないですか?
ホームセンターには、専用の平干しネットが販売されています。平干しネットがあれば重ねた状態で干すことができます。
毎日使うものではありませんがハンガーに干せないニット類の洗濯が気軽にできるようになりますし、枕を干すこともできますよ。
ニットの洗濯、うまくいった?
こちらが洗って乾燥させた状態です。
写真ではわかりにくいのですが、フワフワの毛足はそのままで、縮みやゴワつきは感じられません。
汚れが落ちたおかげで、色の鮮やかさもよみがえった気がします!
しかもこの方法なら、お風呂に入りながらでもできちゃいそうじゃないですか?
手洗い洗濯ってなんとなく面倒に感じられるものですが、お風呂の中でささっと洗ってしまって30秒脱水して干せばOKなので、これからは「家庭で洗えないから、気軽に着にくい・・・」と感じることもなくなりそうです。
家庭洗濯不可の洋服を自宅でここまで洗うことができたら十分だと感じます。
どうしても自宅で洗うことに不安があるものやシミになってしまった衣類はデアにお任せいただいて、シーズン中に簡単に洗ってしまいたい時はこの超洗濯術を試してみてくださいね!