カビの生えたコートをクリーニングに出して欲しい理由


さっそくですが、カビの生えたコートは信頼できるクリーニングにお願いすることをおすすめします。
コートだけでなく、喪服・礼服、ビジネススーツ、保管中の学生服などもカビを発見したら早めのクリーニングをおすすめします。

目次

コートにカビが発生する原因

「クローゼットに保管していたコートに、気がついたらカビが生えていた」という経験をしたことがある人も多いはず。
カビは、

・栄養
・温度
・湿度

が揃った時に大繁殖してしまいます。

カビの栄養

パンやカステラ、お餅にカビが生えて食べられなくなることはよく知られていますが、実はお菓子、柑橘類、ナッツ、羊羹、ジャム、チョコレートなどにもカビは発生します。

カビは糖質・タンパク質・脂質を栄養にします。
食品はまさにカビの栄養になってしまうのですが、コートに食品が付着してしまうことはあまりないですよね。

実はカビは、私たちの皮脂・髪の毛・爪・ホコリなども餌にできるんです。
コートはなかなか洗うことができないので、どうしても汚れが蓄積されてしまいます。
洗っていないコートにはカビが好む栄養がいっぱいなのです。

カビが好む温度

カビは20〜30℃くらいの気温が大好き。
私たちが生活する家の中の平均的な室温はもう少し低いのですが、お風呂や締め切ったクローゼットの中、靴箱などは日中に太陽光で温められて知らないうちに温度が上がります。

日本の住環境はカビが好みやすい温度ということを覚えておきましょう。

カビが好む湿度

カビは湿度65%以上を好みます。
湿度が65%以上になるのは、やっぱりお風呂です。お風呂のカビはどなたにも経験があるかと思います。

梅雨の時期は締め切っているクローゼットの中と靴箱も湿度がかなり高くなりますので、コートや革靴にカビが生えてしまうのです。

もうひとつ気をつけたいのが、冬場の窓の結露です。
室内と外気温の差が激しいとどうしてもカーテンにカビが生えやすいので、冬場でもこまめな換気が必要です。

また、加湿器もカーテンのカビの原因になります。
部屋の乾燥を加湿器で防ぐのは非常に良いことですが、加湿しすぎると湿度が上がりすぎてしまい、カーテンの裾にカビが生えてしまうのです。

コートのカビは拭き取れば落ちる?

発生したばかりの白カビで、表面に薄く付いているくらいであれば払えば落ちることもあります。
カビの胞子を室内に撒き散らかさないように、屋外で払ってみて下さい。

黒カビが生えてしまったら払うだけでは落とせません。黒カビはコートの繊維の奥深いところまで菌糸を張り巡らせているので、たとえ表面が綺麗になっても根元までは落とすことができないのです。
カビが落ちないからといってゴシゴシ擦ってしまうと、コートを傷める原因になるので強いブラッシングはおすすめできません。

コートのカビは洗濯で落とせる?

軽いカビなら洗濯や酸素系漂白剤で落とせることもあります。
ただ、コートをご家庭で洗うのは難易度が高く、洗濯機の「おすすめコース」「標準コース」でいつも通り洗うことはできません。

なぜかというと型崩れや縮むリスクがあるからです。
特にウールのコートは気をつけて下さい。
ウールは洗濯による摩擦でフェルト化という現象をおこします。
ウールの繊維の表面はウロコ状になっていて、乾いている時にはこのウロコは閉じているのですが、水に濡れると開きます。この開いたウロコ同士が絡まることでぎゅっと縮んでしまうのです。

ただ、優しく丁寧に洗えば洗えないことはありません。
ウールコートを洗ってみたい方は家庭でできる超洗濯術「実践!家庭での洗濯禁止マークがあるウール100%のコートを洗濯機で洗ってみた」をご覧になってみて下さい。

カビが生えたコートのクリーニングはデアにお任せ下さい

カビが生えたコートのメンテナンスはクリーニング店にお任せいただきたいのですが、注意点としてクリーニング店の中にはカビが生えた衣類は取り扱っていない場合もあります。
他のご家庭からお預かりした衣類にカビが移ってしまったら大変なので、安全性を考えてお断りさせていただいているのです。
また、ほとんどのお店がコートは水を使わないドライクリーニングで洗います。カビ落としには水を使う必要があるので、技術面から引き受けてもらえないこともあるでしょう。

デアのカビ落としクリーニングの様子

こちらはカーテンのカビを除去している作業の様子です。

結露が原因でカビが生えてしまったカーテンに特殊な漂白剤を塗布して柔らかいブラシでブラッシングしています。
漂白剤が馴染んでいる部分のカビが落ちて白くよみがえっているのがわかるのではないでしょうか。

こちらは別のカーテンのカビ除去のビフォー・アフターです。

裾にびっしり生えていたカビがすっきりと落ちていますね。

革ジャンのカビ落としもできる?

デアには「カビが生えてしまったレザージャケットはきれいになりますか?」というお問い合わせを本当によくいただきます。
回答としては「クリーニングとリカラー(染め直し)の両方で改善できる可能性が高い」となります。

革製品はカビが生えやすくレザージャケットの繊維まで浸食するので、カビ汚れのように見える部分が、実はカビによる落ちない変色ということもよくあるのです。
この場合、カビそのものはレザー用の特殊な漂白で除去することができるのですが変色が残ってしまいますので、リカラー(染め直し)によって目立たなくする必要があります。


こちらはシミがついてしまったスムースレザーです。日に当たりやすい肩の部分の色褪せも目立っています。

であのリカラーでは元のお色と同じ色を調合して、スムースレザーの質感を損なわないように少しずつ少しずつ染料・顔料を乗せていきます。

薄いとシミが隠れませんし、厚すぎるとゴワつきが出てしまいますし、同じ染料でもレザージャケットの部位によって吸い込み方が違うので、職人の手作業で丁寧に時間をかけながら仕上げていきます。
リカラーは実はレザーの専門店でもうまくやれないところが多い作業なんですよ。

こちらがデアでリカラーを行った状態です。

シミの位置がわからなくなるくらい綺麗にすることができました。
リカラーにはカビ跡を隠すだけでなく、日焼けや変色を目立たなくする、新品の時のようなお色に戻すなどの効果もありますので、1度リカラーでメンテナンスすればこれからも長くお使いいただけるかと思います!

カビが生えてしまったコートをそのままにしておくと、他の衣類にもカビが移ってしまいます。
カビ(特に黒カビ)を発見したら、なるべく早くデアにご相談下さいね。
ご覧いただきましてありがとうございました。

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