たれ耳が可愛いコッカー・スパニエルのぬいぐるみは、ご主人が永くかわいがってきたせいか、傾いてバランスを崩しているようです。
ぬいぐるみの中綿が、古くなり、へこんだり偏ったりして、全体の形がヘンになってきました。
鼻の頭も大きく損傷しています。
生地弱りもあちこちに見られます。
破れをお客様が自分で修理した糸が露出しています。
今回の修理内容は4箇所 ①正しいバランスを得るための綿交換 ②黒い鼻さきの布カバーを交換
③ 生地補強 そして④縫い閉じ です。
まず、中綿を出して、鼻カバーの交換からです。縫い口を探して、お腹から開きます。
中に入れられているペレットの袋を引き出します。ペレットとは、ビーズのようなもので、抱き心地を良くするためや安定感を出すために使われています。スパニエルくんの両足に入っています。
袋は破れており、ペレットの小さな玉が散乱していました。すべて取り出して再度袋に詰め直し、もれないように縫い直ししました。
次に綿を抜いていきます。
胴体部分は手、足先まで綿をすべて取り出しました。
頭部分の中綿は、首から先に手が入らないので、顔の縫い目にハサミを入れます。
そして開けたところから綿を取り出します。
鼻の裏側が出てきました。
裏側にある鼻の留め具を外します。
今度は表側から鼻を外します。
ほら、この通り損傷した鼻先が外れました。鼻先カバーを外して同じものを作ります。
ぬいぐるみ修理で難しいのは、交換する同じ部品はありませんから、それと同じものを作り出さなければならないことです。
型をとって、鼻カバーを作ります。
鼻を覆うように縫製してしてつぼめる作業を繰り返し・・
やっと完成しました。
そしてからだにセットします。
きれいな鼻が出来上がりました。
次は裏側からの生地補強です。
接着布でしっかり弱っていた背中とお腹の生地補強をします。これも高等技術を要します。
開けたお腹と顔側から新しい綿を小さくして少しずつ入れていきます。
入れた感触を計りながら、少しずつです。
顔にも綿を入れていきます。顔の綿入れは最も大事なところです。
画像で元の顔と見比べながら、細かいところを修正していきます。
さらに、からだ全体もチェックしながら、手、足さき尻尾まで手の感触を感じながら綿詰めを行うのです。
そして、綿閉じの縫い針を入れます。
そして最後に、お客様が自分で修理した糸が露出した足の付け根の再修理をして、今回の修理は完了しました。
鼻もきれいに、顔もしっかりとしたイケメンに。
体全体もバランスよく仕上がりました。
完成です!