エナメルってどんな素材?お手入れ方法は?クリーニング・メンテナンス事例


光沢感が美しいエナメルは、バッグ、財布、シューズなどのファッション小物で身近な素材です。
近年流行っているコスプレ衣装やぬいぐるみの洋服制作に使ったことがある方もいらっしゃるでしょう。

でもエナメルって何でできているのでしょうか?
どうやってお手入れをすれば良いの??
知ってそうで知らないエナメルの面白さを見ていきましょう!

目次

エナメルって何

エナメルはいろいろなところで使われます。
例えば私たちの歯です。歯の表面の白く艶がある部分がエナメル質で、その下にあってエナメル質に覆われている部分は象牙質です。エナメル質は象牙質を守っている部分なんですね。
また、鍋ややかんなどに使われる琺瑯(ほうろう)もエナメルです。

バッグ、靴、財布、ベルトなどのファッションに使われるエナメルは「エナメル塗料」でコーティングした素材であったり、エナメル加工された製品を指すこともあります。

 

エナメル塗料・エナメル加工とは?


エナメル塗料は樹脂などを溶剤に溶かして作られたワニスに顔料を混ぜた塗料のこと。
このエナメル塗料を皮革、ビニール、布などに塗って表面を加工することがエナメル加工です。

エナメル製の高級ブランドバッグには、主にレザーにエナメル加工されたエナメルレザー(パテントレザー)が使われています。皮革にウレタン樹脂をコーティングしてあるエナメル素材ということになりますね。

 

エナメルの特徴


エナメルのいちばんの特徴は、なんとってもあの光沢です。

 

美しいツヤと光沢

エナメル加工によってツルツルに仕上げられていますのでアイテムそのものにツヤがありますし、周囲の光を反射して独自の光沢を生み出します。
このエナメル独自のツヤにはなんとなく近未来感もあって、エナメル製ジャンプスーツなどは映画の衣装にも効果的に使われています。
また、エナメル製キャットスーツのセクシーさはコスチュームとしても大活躍していますね。

 

水に強い

エナメルは水に強いという性質があります。
表面を樹脂コーティングしてある素材なのである程度水に強く、エナメルバッグなどの雨に濡れやすいアイテムもこまめにお手入れをしなくてもシミになりにくいのです。
ただし、バッグが濡れてしまったらそのままにせずに拭きとるようにしましょうね。

 

エナメルのお手入れ方法


エナメルバッグや財布の普段のお手入れ方法は2つあります。

1.ホコリを払う

柔らかいブラシまたは柔らかい布で、エナメルの表面をやさしく払ってホコリを落とします。
エナメルは静電気が発生しやすい素材なので、可能であれば帯電防止効果のあるブラシを使うとさらに良いですよ。

 

2.クリーナーで汚れを落としてツヤを出す

エナメル専用のクリーナーが市販されていますので、汚れを落としてツヤ出しの加工を行います。
クリーナーを使う前にはバッグの底などの目立たない部分に試し塗りをして、変色がないこと、異変がないことを確認して下さい。
このクリーナーを使ったお手入れは月に1回程度で大丈夫。
フォーマルなシーンでしか使わないようなエナメルバッグならワンシーズンに1回で十分です。

なお革製品用のオイルやクリームでは代用できませんので、エナメルローション、エナメルクリームなどのエナメル用のものを用意ください。
アルコールスプレーも使えません。アルコールはエナメルを溶かす性質がありますので、絶対に使用しないでくださいね。防水スプレーもNGです。

 

エナメルバッグの汚れが取れない!どうすればいい?

エナメルの取り扱いで気を付けていただきたいのが汚れとシミです。
エナメルは水にも強いし見た目はツルツルピカピカなので、汚れてもサッと拭けば落ちるような印象かもしれませんが、顕微鏡で拡大して見てみると表面には小さな穴が無数に開いているんです。
エナメルについてしまったシミはその穴に入り込んでいるので、ふき取るくらいでは落ちませんし落とす方法はありません。

よくあるのがお財布の色移りです。
お買い物のレシートなど印字された紙が濡れてしまってバッグの中でエナメル財布にくっつくと、書かれている文字が色移りしてしまいます。

じゃあエナメルが汚れてしまったら終わりなのかというと、そんなことはありません。

 

デアならエナメル再加工が可能です

エナメルの無数の穴に入り込んでしまった汚れは、クリーニングでも落とすことができません。
汚れを落としてシミを除去するには、表面のエナメルを全てはがして元のようなエナメル塗料を塗って仕上げるという非常に高い技術が必要になります。

一般のクリーニング店ではここまでの技術はありませんし、バッグメンテナンスのお店でも1点の品物にそこまで時間と手間をかけられるところは少ないのです。

しかし、デアならこのエナメル再加工が可能です。

エナメルバッグ、エナメル財布の修復事例をご紹介します。

 

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)長財布のエナメル再加工


こちらは優しい色味とゴールドの金具が高級感あふれるルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の長財布。
ただ、黒く汚れてしまっている部分がありますね。
こういった汚れはバッグクリーニングでは落とすことができませんので、1度表面のエナメル加工をはがして、汚れを除去してから再度エナメル加工を施すという技術が必要になります。
すでに完成しているお財布のエナメル加工をはがして再加工するわけですから、エナメル加工された1枚の革からバッグを作り出すよりも、ある意味高い技術が問われます。


こちらがクリーニング+エナメル再加工を施して、メンテナンスが完了したルイ・ヴィトン長財布。
再加工によって表面の細かなキズも落ちましたし、エナメル塗料は元のお色味と同じ色を調合してありますので、新品同様に仕上げることができました。

 

クリスチャンディオール(Christian Dior)財布のエナメル再加工


こちらもエナメル加工のお財布です。ブランドはクリスチャンディオール(Christian Dior)です。
かなり汚れはあるものの、ツヤ感は残っていますね。
こちらもエナメル加工をはがして再加工処理を行いました。

まずは劣化してしまったエナメルコーティングを全てはがします。そして内側の皮革についてしまっている汚れや黒ずみをクリーニングで落とします。
それでも落ちない汚れは、素材にあわせて顔料・染料を使い分けながら目立たないように染めます。
最後にエナメルコーティングを施して完成です。


お色がやさしいピンクに変わっていますね!
こちらはお客様のご希望による色替えを行ったんです。

バッグクリーニングのデアでは、エナメルをどんな色にも染め替えることができます。
白やクリーム色の淡いお色味のお財布やバッグを、汚れ・傷が目立たない黒や濃い色に染め替えるお客様もたくさんいらっしゃいます。

 

エナメルのまとめ

★ファッションにおけるエナメルとは?
樹脂などを溶剤に溶かして作られたワニスという顔料(エナメル塗料)を皮革、ビニール、布などに塗って表面を加工した生地や製品。
 
★エナメルの特徴は?
・美しいツヤと光沢
・水濡れに比較的強い
・防水スプレー、アルコールはNG
・汚れ、シミを洗って落とすことができない
 
★エナメルのメンテナンス方法は?
・ブラシでホコリを払う
・エナメル用クリーナーで汚れの除去とツヤ出し
 
★エナメルのクリーニングは?
・エナメル再加工の技術を持つデアなら安心!
・色替えも可能です

繰り返しになりますが、エナメルの再加工は非常に高度な技術になりますので、日本ではごく限られた業者しか受け付けていません。
もしお手持ちのエナメルバッグやお財布が傷んでしまっていたら、メンテナンスはデアにお任せ下さいね。

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