バブアー(Barbour)オイルドコートのクリーニングとリプルーフ


バブアー(Barbour)のオイルドコートは、特にクリーニングご依頼が多いお品物です。
今回のデアの広報室では、

・なぜオイルドコートは専門店でのクリーニングが必要なのか?
・デアではどのようにクリーニングするのか?
・クリーニングとリプルーフ

について、わかりやすくご紹介いたします。

 

目次

バブアー(Barbour)オイルドコートとは?


オイルドコートブランドとして世界中で知られているバブアー(Barbour)は、1894年にイギリスで誕生しました。

天気が不安定で雨も多く、冬場には極寒となる海沿いで働く漁師や港湾労働者に向けて、防寒・防水・耐久性に優れた防水ジャケットを提供するために開発されたのがルーツで、元は必要性から生まれたワーキングウェアだったのです。

オイルドコートの特徴は、厚手のコットン生地の表面にオイルが塗り込んであること。
生地をオイルコーティングすることで雨・風・寒さから体を守りつつも、動きやすさは損なわれないという機能性を備えていることから瞬く間に人気となったのです。

非常に革新的なコートだったことから、第一次、第二次世界大戦では英国軍の防水服として選ばれていたという歴史もあります。

現代の日本では防寒・防水目的でバブアーオイルドコートを着用する機会はほとんどありませんが、ファッションアイテムとして愛好家から高い人気を誇っています。

 

カッコイイけどやっかい!オイルドコートのクセの強さ

バブアーオイルドコートオーナーの方はご存知かと思いますが、オイルドコートは普段着のように気軽に着るにはクセが強いコートになり、簡単にメンテナンスをすることもできません。

 

オイルが他の衣類に付着する!

オイルドコートの表面は、常にオイルで湿ったような状態になっています。
もちろんこれは狙って加工されているのですが、他の衣類にコートが触れてしまうとオイルが移ってしまうことがあるんです。

ほんの少し触れるくらいなら問題ありませんが、

・タクシーや電車のシートに長時間座った
・電車で長時間周囲の人と密着していた
・オイルドコートを着て、長時間バッグを持っていた
・クローゼットの中で他の衣類と密着していた

など、日常によくあるシチュエーションでもオイル移りが発生することがあります。

 

モーターオイルのような匂いがすることも・・・


塗布してあるオイルの匂いが気になるという人もいます。
例えるなら、機械油のような匂い、エレベーターに乗った時に漂ってくるオイル臭と感じる方も多いようです。
また、自分は気にならなくても「周囲に迷惑をかけているのでは・・・」と気になってしまうこともあるでしょう。

オイルはだんだんと酸化してきますので、年々匂いが強くなってくるように感じる人もいるようです。

 

家庭洗濯は不可です

バブアーをはじめとしたオイルドコートはご家庭で洗うことができません。
洗濯機では洗えませんし手洗いも不可となります。

「丁寧に手洗いすれば大丈夫なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、チャレンジするのはやめておきましょう。
オイルドコートの表面にはオイルが塗布してあり、洗剤で洗ってしまうとこのオイルが落ちてしまうのです。

オイルドコートのトラディショナルな風合いが損なわれ機能性も落ちてしまうので、家庭でのお洗濯はおすすめしません。

 

本場イギリスではどんなメンテナンスが行われているの?


オイルドコートを現代日本でタウン着にするにはやっかいと言えそうですが、本場イギリスではどのようなメンテナンスを行っているのでしょうか。

一般的なケースになりますが、基本的にオイルドコートは「洗えない衣類」として知られていますので、洗うことはせずに汚れが気になる部分を拭き取るというメンテナンスになります。
オイルが抜けて色が薄くなってきたらオイルを再度塗布する「リプルーフ」を行なって経年変化を楽しみつつ長く着用していくようです。

しかし、いくら洗いにくいコートとはいえ、全く洗濯せずに着続けると汚れも匂いも気になってくるものです。
世界的に見ても衛生観念の高い日本人にはなかなか耐え難いことなのではないでしょうか?

 

デアならバブアー(Barbour)オイルドコートもお洗濯できます!

デアならバブアーをはじめとしたあらゆるオイルドコート、オイルドジャケットのクリーニングが可能です。

オイルドコートは長く洗われていない状態で持ち込まれることが多いため、かなり汚れていたりオイルが薄くなっていることもしばしばあります。
また、コート表面のオイルは汚れや埃を吸着しやすく、内側には皮脂や汗なども付着していますので、これらの汚れをしっかり落とさなければいけません。

デアでは、まず職人が1着ずつ丁寧に手洗いでブラッシングしていきます。

手洗いの工程が終了したら、優しい水流でさらに洗っていきます。
こちらのお写真は、バブアーオイルドジャケットのビデイル(Bedale)を水流で洗っている様子。
白く浮いているのはオイルのベタつきと汚れを吸着した洗剤です。

汚れた泡は丁寧にすくいます。この洗浄作業を繰り返して、汚れた泡が出なくなったら丁寧に洗剤を洗い流すすすぎを行います。

 

バブアー(Barbour)オイルドコートのリプルーフ(再オイルド加工)


オイルドコートに再度オイル加工を施すことを「リプルーフ」と言います。
クリーニングが終了したオイルドコートはオイルが抜けている状態になるので、お客様のご希望に合わせてリプルーフを行います。

 

匂いを抑えたオイルを調合

デアで使用するオイルは、オイルドコート専用に特別に調合したものです。
バブアー本来のオイルは機械油のような匂いがすると言われることも多いので、石油系オイルは使わず動物性油と植物性油を調合したものを使用しています。
爽やかな匂いに仕上がっていますので、純正オイルの匂いが気になっていたお客様からも喜ばれているんですよ!

 

職人の手作業でオイルを塗っていきます

リプルーフは職人による手作業になります。
オイルは2種類あり、濃色にするためのオイルとしっとりとさせるオイルを2度コーティングします。
ベタッと塗ってしまうとムラになってしまいますので、ごく薄い層を作るように少しずつ少しずつ塗り重ねていきます。

この工程もデアが非常にこだわっている部分です。
オイルドコートの性質を熟知している職人が、お客様のご希望に合わせて丁寧に時間をかけてオイルを重ねていきます。

 

アイロンで仕上げます


クリーニング屋さんのアイロンは、電気の熱ではなく蒸気(スチーム)でプレスする作りになっています。
ボイラーから作られる蒸気を細かく調整しながら衣類に当ててつつ、アイロンの重さを利用してシワを伸ばしたり形を整えていきます。
業務用のアイロンはある程度重さがないとプレスができないので、家庭用アイロンと比べるととても重いんですよ。

コート表面にはオイルが塗ってありますので、蒸気は微量にしてシワを伸ばします。
蒸気は一瞬で温度が下がるので、オイルドコートが焦げてしまったりオイルに影響を与えることはありません。
内側にも丁寧にアイロンをかけて完成となります。

 

オイルドコートのお困りごとは、お気軽にご相談ください


今回はバブアーをピックアップしてみましたが、デアではベルスタッフ(BELSTAFF)、バーバリー(Burberry)などのオイルドコートも取り扱っております。

また、あえてリプルーフを行わない「オイル抜きクリーニング」も可能です。
オイル抜きクリーニングを行うと、さらっとしたコットンのコートのような風合いに仕上がりますので、オイル感やベタつきがなくなります。
オイルドコートの風合いは好きだけど街中で着ることが難しい方や、もっと気軽にバブアーを楽しみたいというお客様に選ばれている洗い方になります。

オイル抜きを行なったコートに再度リプルーフすることも可能ですので、ご希望の仕上がりをお気軽にご相談くださいね。
お手持ちのバブアーオイルドコートをメンテナンスして、長く楽しんでいきましょう!

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