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リアルレザーのムートンジャケット・コート。フェイクムートンとは違ってどっしりとした重みのある風合いの防寒着です。
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ところが、リアルムートンは経年で色ムラや剥げてくるのです。ムートンは製造時にその上に顔料を載せています。ムートンレザーの表面はざらざらしているので、スレたりするとどうしても色剥げが起こります。
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あちこちに汚れ、色ハゲや細かい傷などですっかり古びてしまったので、修復してほしいという依頼です。
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これはカビです。ムートンは羊の毛皮の裏側をきれいに加工して、表地として使用できるようにスエード仕上げした毛皮のことです。毛皮ですからもともと湿気を吸いやすくてカビが付きやすい素材です。
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ジャケット・コートの内側は、カビが経年で黒カビと変化しています。ムートンの内側は羊の表の毛皮部分でとても湿気を吸いやすいのです。カーテンやソファカバーにもついたカビが黒カビとなった場合は、それを除去することは大変難しいのと同じように、それ以上に黒カビ除去は大変です。
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ムートンコートは、製造時からして熱をかけられないなど染色が難しく、さらに染色の定着度が悪く、染色堅牢度が弱い作りとなっています。だから、紫外線やスレなどから白ちゃけたり、変色したりします。コートの後ろ側にもびっしり 色ハゲとカビがびっしり、かなり難しい修正です。
アフター
ここからは修復後のアフター画像となります。修復作業の過程は。まずムートン専用のクレイジングとクリーニング作業です。
アフター
前処理のブラッシングで細かい汚れをブラッシングしてきれいにします。その後にクリーニングして全体的な汚れをとってから、リカラー(再染色)をして修復します。
アフター
特にカビは不溶性の汚れなので、水洗いでもドライクリーニングでも取れないことが多いので、カビ取りブラッシングが重要なのです。
アフター
ムートンはスエードなどと同じく、表面はざらざらしているので、顔料でリカラーすると表面がガサついてしまいます。また染料も部所によって吸い込み方も違ってくるので、染色には高い技術が要求されます。
アフター
ムートンはダウンと同じようにとても温かいので、汗などを多く吸ってしまいます。だからカビも発生しやすいのです。カビ取りブラッシングと特殊漂白ですっかりきれいになりました。
アフター
後ろ側の汚れ、スレ、色落ち、変色、カビもすっかりきれいになりました。特にカビは、下手すると革そのものを侵食してしまうので、普段のお手入れが大切です。着用したら風通しの良いところで陰干しをすることをおすすめします。
アフター
カビの除去。リカラー(再染色)は、顔料だけではまた色剥げが起こりますので、染料をムートン生地に染み込ませ、さらに顔料で染色しました。それに汗抜き技術。これらが「真似のできない再生技術」です。新品のようになったと思います。