ビフォア
白色のレザー(ムートン)バッグのリカラー(カラーリング)は大変難しいです。なぜなら白い素材に濃い色を乗せるのは簡単ですが。黒ずんだ素材に白色をのせても黒ずみは浮き出てくるからです。
ビフォア
さらにひび割れ加工のクラッキングレザーです。本革を使い込んだようなヴィンテージな味わいがありますが、小さな凹凸があるので、染料、顔料のカラーリングの掛け方が大変難しいのです。
ビフォア
詳しく見てみましょう。バッグの底の部分は最も汚れるところです。
ビフォア
底角も接触する部分なので、汚れ、傷も付きます。
ビフォア
右側も同じように・・
ビフォア
持ち手(ハンドル)も相当手垢がついています。作業は、バッグ全体の洗浄からはじまります。汚れを十分に除去しておかないと、染色が十分にできないからです。バッグクリーニングですね。
アフター
ここからがアフターです。 ムートンは毛の面と革の面のいわゆる「ダブルフェース」で、裏側は毛の部分、これに染料がかからないようにしっかりマスキングしてカラーリングを行います。ビフォアに比べてすっかりきれいになっています。
アフター
底角の染色もうまくいきました。ムートンレザーの柔らかさを保つために、カラーリングは薄く掛け、確認しながら何度も染色を繰り返すことで、その風合いが保たれます。
アフター
くすんでいた金具も磨いております。
アフター
相当汚れていたバッグ底全体は、クレンジングで汚れを取った後、残った汚れ跡をカラーリングを繰り返して消去できました。
アフター
他にPRADAのロゴも少し手を入れてあります。
最後にムートン専用の柔軟クリームを薄く塗りつけ、今回のメンテナンスは終了しました。