特大ぬいぐるみのクリーニングと体型修復


人の身長よりも大きい特大のぬいぐるみのクリーニングと修理の依頼です。修理の依頼内容は「体型が少しくずれて左側に傾いている。手が垂れてしまっているので修正してほしい」です。確かに左に傾いているし両手が下に下がっていますね。


早速クリーニングから始めます。クリーニングは、所々に汚れがあり、おしりの下にも汚れがあり、汚れ落とし作業から始めます。


汚れの部分は集中的に汚れをとります。また全体的にも薄汚れていましたので、からだ全体を洗剤をつけてブラッシング、そして固く絞ったタオルで拭き取る作業を繰り返します。


洗剤でブラッシング、そしてその洗剤をすべて拭き取ることの作業は、スタッフ3人がかりで3時間。その後柔軟剤で毛並みを柔らかくふんわりするという作業でクリーニングは終わりました。


クリーニング後、乾燥が終わったら、次は体型修復の修理です。中綿が偏っているところや、へたっているところを、手の感触でくまなく調べます。


手が下がっているのは、胴回りから脇の下辺りの中綿が偏ってしまっているのが原因です。


また体が左に傾いているのは、首周り腰回りの中綿がへたったり、偏ってしまっているのが原因です。


中綿を補充して体型を修復します。そのためにどこから綿を入れるかを決め、縫い口を探します。


縫い口を探し当てたら、元ある縫い糸をカットして穴をあけます。


綿を奥の方まで綿を押し込んでいくので、人の腕が入るぐらいにもう少し広げます。


特大ぬいぐるみの修復には大量の新しい綿が必要となります。


穴から補充する部分を手で探り当て綿を入れていきます。


綿の入れ具合を調節しながらの作業ですから意外と難しく、これは縫いぐるみ修復職人の高度なわざです。


首周り、顔、手と足の付け根など、いろいろなところで、中綿のへたり、偏りが見られましたので、作業は多岐にわたります。


顔が少し下がり気味なので、顔の縫い目から首まで手を入れて綿を補充します。


脇の下を綿で補充すると垂れた手がしっかりと上がってきます。


長い時間をかけてやっと体型が修復されました。


次は縫い閉じです。


外から見ても触っても、縫い口がわからないようにするのが、ぬいぐるみ縫製の大事なポイントです。


綿入れのために開けた穴は、合計10箇所。すべてを縫い終わりました。


姿勢も正しく、手も上がっているのがわかります。下の画像は修復前のぬいぐるみ、比べてみてください。


修理前は、全体的に前傾姿勢でなお体が微妙に左に傾いています。手も下に垂れていて、顔もうつむき加減ですね。これが修復されました。


特大ぬいぐるみのクリーニングと体型修復の完成です。堂々とした姿は立派です。

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