実録!レザーバッグのリカラーが作業不可になってしまったお話

いつもデアの通信簿をご覧下さってありがとうございます。
今回はレザーバッグのリカラーが作業不可になってしまった事例をご紹介します。

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デアではかなり多くのお品物のリカラー・染め替えが可能なのですが、一体どういう理由で作業を断念せざるを得なかったのでしょうか?

目次

リカラー不可となってしまったバッグはコレ!

さっそくですがリカラー不可となってしまったバッグをご覧ください。

ブランドはVivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)で、外側はレザー内側は布のトートバッグです。
こちらデア外注ライターの私の私物なんです。
デアでリカラーをお願いしたくて、一般の利用者様と同じようにご注文フォームから見積もり依頼をして現物を送って検品していただいた結果、作業不可となってしまったんです。

とても残念だったのですが、作業不可になってしまった実例ということでご紹介させていただくことにしました。

レザーの種類やバッグの状態など

このバッグはフリマアプリで購入したものです。

ご覧の通り状態は良くなく、ところどころ赤っぽく変色しているところがあります。
元の持ち主様いわく、長く使っていたバッグを自分で染めなおそうと思って市販の革用カラー剤を試してみたのですが、うまくいかなかったのだそう。
そういうお品物なので安くお譲りますと売られていたものを私が購入させていただきました。

問い合わせから作業不可となるまでの流れ

まずは見積もりからお願いしたかったので、公式サイトのお問い合わせフォームからリカラー希望であることと、他にも事前に知りたかったことを記入して写真を添付して相談することにしました。
事前に確認したかったこととデアからの回答を要約してご紹介します。

質問:1.色について

【質問】元の色の濃いこげ茶にするか真っ黒にするか迷っています。
色の違いでお値段は変わってきますか?

→デアの回答
・別の色(真っ黒)にする場合は色替えになるため料金は変わります。
正式な価格はお品物拝見後のご案内となりますが目安として料金表をご覧ください。

・元の色に染め直す場合(リカラー)

【革・合皮バッグクリーニング料金】「クリーニング+リカラー」の項目が該当致します。

・真っ黒に染める場合(色替え)
クリーニング料金の2倍の価格でのご案内です。

画像を拝見させていただく限りですと、スエードのような特殊な革質かと思われ、持ち手や上部口周りで異なる革が使用されているように見受けられますので、追加料金が発生する場合がございます。
また、一度染色されている場合、表面の塗料を剥がす必要があり剥離代を含めてのご案内となる可能性がございます。

質問2.ブランドプリントについて


【質問】タグにシルバーでブランドプリントがあるのですがこちらは残したいです。
塗りつぶさずに残すことはできるのでしょうか。

→デアの回答
できる限り残すよう作業致しますが、状態によっては多少色が入ってしまう場合がございます。
特に別の色に染める場合は、ギリギリまで染める必要がございますので色が入る可能性が高くなります。

質問3.質感について

【質問】バッグの部位によってかなり革の質感が違うのですが、リカラー後はどのような感じになるのでしょうか。今の質感のまま色がのるような感じですか?

→デアの回答
リカラーや色替えにより、風合いや質感変化は発生致します。
スエードのような起毛素材に見受けられますので、ツルツルとしたスムースレザーに比べて、ガサっとした若干硬い質感となる可能性がございます。

質問4.ステッチの色について

【質問】ステッチの色は生成りだったと思うのですが、赤っぽく染まっている部分があります。
こちらもバッグ本体と同じ色になりますか?

→デアの回答
通常でしたらステッチを残すよう作業しておりますが、ステッチごと染めることは可能です。ステッチが塗料をはじいてしまう場合もございますのでご了承ください。なお、特殊なお品物ですので、作業可否や料金等詳細等を決定するにあたり、実際に職人がご依頼品を手に取っての確認が必要となります。

見積もりをお願いすることにしました


デアからの回答はわかりやすく知りたかったことに明確に答えていただけたのですが、ひとつだけ気になることがありました。
私の目には起毛素材には見えなかったので、「スエードのような起毛素材」というお見立てに「型押しはしてあるけど、このバッグスエードなの?」と思ったんです。
送った写真が悪かったかな?と思いつつ、一応書き添えて見積もり依頼をすることにしました。

ちなみにバッグは集荷サービスご利用&14,000円以上ご注文で送料無料です。
デアの申し込みフォームで手続きを進めると集荷依頼もまとめてできますし、集荷予定の日時に配送員さんが着払い伝票を持ってきてくれます。
配送中に傷まないようにビニール袋などに入れてダンボール梱包するだけで送ることができますよ。

集荷に来てくれたのが金曜日で、翌月曜日にはお品物の到着案内メールが届きました。
デアは土日祝祭日がお休みですので、翌営業日には到着メールを出してくれたことになります。

なぜ作業不可になってしまったの?


ワクワクしながらお見積もりを待っていたのですが、数日経って作業不可であることのメールが届きました・・・。
作業不可になってしまった理由も丁寧に記載されていたのでお伝えしますね。

ご注文いただいておりましたお品物ですが、検品作業を行いましたが、誠に申し訳ございませんが弊社では対応が難しく作業不可となります。【検品及びご了解事項】
変色、色ムラ、スレ・毛羽立ち・剥がれ有り
汚れ・シミ有り
こちらのお品物は、おそらくスエード革にワックスを浸透させた後、プレスをかけてスムース風に仕上げた革ではないかというのが工場での見解となります。

染色するためには、脱脂することが必要となりますが、脱脂を行うとガサつきが出て元の質感に戻せなくなってしまいます。
染色の際は、染料を使用致しますが、お客様が加工された表面の塗料が影響し綺麗に染めることが難しいです。
いずれに致しましても元の状態やお色の判断が難しく、また、上記状態により元色に近しい感じや雰囲気に仕上げることができかねます。
ステッチ部分につきましても、塗料が糸に浸透し変色してしまっており除去することができかねます。
せっかくのご依頼でしたのがご要望に添えきらず申し訳ございません。

作業不可の理由をまとめると、そもそも革が特殊であることと元の持ち主さんが塗った色を綺麗に脱色することができないため(脱脂すると特殊な革の質感が大きく損なわれてしまう)ということでした。

このメールが届いてすぐに、バッグはとても丁寧に梱包された状態で返送されてきました。

個人の感想だけどこれだけは言わせてほしい!

読んで下さっているお客様の中にもフリマアプリなどで安いバッグを購入してメンテナンスしてから使おうと思ってらっしゃる方もいると思います。
そんな方々に私は3つのことを伝えたい!

市販のカラー剤が使われているバッグには要注意

今回こういう結果になってしまったので、メルカリなどでブランドバッグを購入する際は、どんなに安くても市販の革用カラー剤が使われているものは慎重に検討することを強くおすすめします。

市販品とはいえカラー剤は1度塗ったらそう簡単には落ちないように作られているので、着色があることが理由でリカラーができなくなってしまうことも考えられます。
一般的なスムースレザーだったとしても脱色が難しいこともあると思うので、元の色から塗り替えてあるものはリカラーできない可能性があることも頭に入れておきましょう。

デアの職人の見立ては正解だった!

私はバッグに触れても「スエードじゃないっぽいよ?」と思っていたのですが、正解は「おそらくスエード革にワックスを浸透させた後、プレスをかけてスムース風に仕上げた革」というなんとも特殊な革でした。
実物を見ても触れてもスムースっぽいにデアの職人は写真を見ただけで「スエードのような起毛素材」とわかったんです。

「写真だけでわかるとはデアの職人はやっぱりスゴい!知識と経験が豊富というのはこういうことを言うのだな」と改めて思いました。皆様にもぜひ安心してご依頼いただきたいです。

見積もり依頼にデメリットはありません

お客様都合によるキャンセルの場合は「往復送料+代引き手数料」をご負担いただいています。

今回は依頼に至らなかったので、送料がかかっても仕方がないなーと思っていたのですが、なんと往復送料ともにデアが負担してくれました。
※作業不可の場合は、デアが送料負担してご返送となります。

お見積もりに金銭的な負担がなかったことはとてもありがたいサービスだと感じます。
というか、ここまでやってくれるお店ってあまりないのではないでしょうか??

ご依頼いただくことが前提となりますが、お客様都合によるキャンセルでなければ集荷サービスご利用&14,000円以上ご注文で送料無料ですので、「このバッグもリカラーできる?」と不安があるバッグでも気軽にご相談くださいね。

デアでは多くのブランドバッグのリカラー・染め替えを行なってまいりました。
今回のような特殊なケースにおいてはどうしても作業ができないバッグもありますが、バッグの見た目でお悩みでしたらぜひご相談くださいね。
ブランドの特性を熟知した職人が最適なリカラー・染め変え方法ご提案させていただきます。

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