こんにちは、バッグ クリーニングのデアです。
前回キャンバス地・レザーのクリーニング/FFCT自転車キャンプツーリングバッグ[前編]では、
バッグの種類とお預かり時【BEFORE】の状態を細かくご紹介しました。
続いて今回は、どのようにクリーニングしてどのように生まれ変わったのかをご紹介します。
作業の様子 シミや汚れの種類別クリーニング方法
ひとことにシミや汚れと言っても種類は様々です。
おおまかに分類すると「水溶性」「油性」「不溶性」に分けることができます。
また、見た目には1つに見えても実際には複数の性質が混ざり合った状態であるのも
良くあることです。
クリーニングのデアは経験豊富な職人の手により、ひと工程ずつ状態を見ながら
作業していきます。
キャンバス地の油性汚れを落とす。
水をはじいてしまう油に溶けやすい性質の油性汚れを落とします。
皮脂、機械油や化粧品等が挙げられます。
油性汚れを先に取り除く事で、次の水性汚れを効果的に落とすことができます。
キャンバス地の水溶性汚れを落とす。
水に溶けやすい性質の水溶性汚れを落とします。
汗に含まれる塩分、血液やジュース等が挙げられます。
水洗いや中性洗剤で落とせることがありますが、時間が経つと
色素汚れやガンコ汚れとなり落ちにくくなります。
キャンバス地の不溶性汚れを落とす。
水にも油にも溶け出さない不溶性汚れを落とします。
鉄分を含むほこり、泥やスス等が挙げられます。
不溶性汚れは細かい粒子の汚れなので、生地を痛めないように
ブラシ等で掻きだしていかなくてはならず手間がかかる作業です。
キャンバス地の特殊漂白をする。
洗うだけでは落ちない色素汚れ・がんこ汚れを特殊漂白します。
時間が経って酸化した色移りや黄ばみ、鉄分を多く含む泥汚れ等が挙げられます。
革の乾燥を補う。
洗う事で硬くなった革部分をオイルで柔らかくします。
革を色補正する。
色補正(リカラー)をして色ムラや落ちないシミなどを目立たないようにしていきます。
銀面(革表面)が弱っている場合は耐久性や撥水性の回復が期待できます。
金具の錆を落とす。
キャンバス地に移らないよう注意しながら目立つ金具の錆を落とします。
仕上げる。
きれいに拭き取り、ブラシをかけて完成です。
作業完了 ビフォー・アフター
様々なクリーニング方法の工程を経てようやく作業完了しました!
作業前【BEFORE】と仕上がり後【AFTER】を比べてご覧ください。
フロントバッグBEFORE AFTER
サイドバッグBEFORE AFTER
革・金属部分BEFORE AFTER
風合いをなるべく損なわぬよう作業したため汚れやシミは少し残りましたが、比べてみれば一目瞭然!
ずいぶんと綺麗になったかと思います。
キャンバス地や革の使い込まれた感じや、どうしてもキャンバス地へにじみの出てしまう革からの油分による着色も、
こうして見てみるととても味わいがあります。
引き続き、旅の相棒として愛着が増しそうな風格ある素敵なお品物でした。
バッグをクリーニングに出すタイミングは?
汚れがついてしまったとき
汚れがついてしまったら、なるべく早めにクリーニングへ出しましょう。
汚れをそのまま放っておくと、カビ・菌の繁殖や酸化の影響等で落ちにくいガンコ汚れになってしまいます。
付いたばかりの汚れなら、クリーニングによってかかるバッグへの負担(痛み)も軽減できます。
普段お使いの後はブラシでほこりを落とし、素材によっては定期的に防水スプレーをかけておくと、
きれいな状態をキープできます。
衣替えのとき
衣替えで洋服などの入れ替えをするタイミングで、普段お使いのバッグをチェックしてみてください。
着るたびに洗濯する洋服と違って、よく見ると汚れていることが多いです。
ついつい使用頻度が高くなってしまうお気に入りなら尚の事大切にしたいですよね。
クリーニングに出して状態を整え、気持ちよく次の出番を待ちましょう。