夏に大活躍なエスパドリーユタイプの靴
リゾートで見かけることが多かったエスパドリーユですが、今ではすっかりデイリーユースとして定着しています。スリッポンタイプの靴は、特にその気軽さから夏に履く機会が増えますよね。
キャンバス素材の靴は、ヘビーローテーションしたいけれど、どうしても汚れや水が浸透しやすく、また革靴のようにさっとひと拭きで汚れを落とす事もできないところが、メンテナンスの難点です。また、うっかり対応を忘れたまま、オフシーズンの長期保管をしてしまうと、使おうと思った時には黄ばんでいたり、カビがはえていてショック!なんていうことも。
今回のご依頼は、防水スプレーをかけて乾ききっていない状態で靴袋に保管してしまったため、履こうと出した時にはカビが生えてしまっており、そこにカビキラーをスプレーしたところ色が抜けてしまったという、ルイヴィトンのデニム地キャンバスシューズです。
デアでは、この様なケースの場合、まずはクリーニングをして、全体的な斑点状のシミはクリーニングのみでは改善が難しいため、リカラー(元のお色への補色・染色作業)での修繕を行います。
革や合皮以外の布・生地素材でもリカラーで修繕ができるケース
革や合皮の靴などの場合、特殊な加工や特に繊細な素材以外は、染色作業での修繕が可能なことが多いのですが、通常、布・生地の場合は染色作業での修繕が難しいことがほとんどです。それでも、職人が実際にお品物を確認し、可能と判断した場合は、特別に作業を行っています。
布・生地の素材の場合、後から染める場合、どうしても性質上均一に染まりにくかったりと、仕上がりが不安定になりやすい為、リスキーな作業なのです。作業不可の判断は、帆布、いわゆるキャンバスといわれる厚手の生地やデニム地、無地のものは、作業できるケースが多いです。
職人の細かい手染めで自然な仕上がりに
今回のケースでも、出来る限り自然な仕上がりになるように、質感が損なわれずに染料が入る可能な範囲での作業となり、デニムの生地目に沿って筆などを使って細かく手染めされています。
また、素材(布)の傷み・糸緩み部分は、綺麗な箇所に比べて上手く色が入りにくいこと、カビキラーが生地に残っている可能性があり、予期せぬ薬品との反応が起こるかもしれないこと、若干ムラになる可能性がありましたが、実際は、カビ跡のムラも出ず、全体的に違和感もなくワントーンくらい濃いめの色合いでキレイに仕上がりました。
カビやシミを防ぐ、キャンバスシューズの上手な保管方法
◯まず、普段の使用の際は、キャンバス素材に対応した防水スプレーを1〜2ヶ月に1回くらいかけて水や汚れから守ります。その際、ムラになるのを防ぐ為、靴から20〜30㎝くらい離したところからまんべんなくかけて、その後、必ず日陰で十分に乾燥させましょう。
◯靴はその使用や構造上、どうしても汗などで湿気がたまりやすいお品物です。履いた後は日陰の風通しの良い場所で十分に乾燥させましょう。できれば1日履いたら次の1〜2日は休ませるのが理想的です。
◯直射日光により、本体の素材や接着剤やゴムなどの素材にダメージを受けます。なるべく日光に当てないようにしましょう。
◯特に大事にしたいキャンバスシューズの場合、長期保管の際は厳重に!
脱臭剤、乾燥剤、シューキーパーを使用する他、最近では密閉できるスニーカー保管パックなども効果が高く人気のようです。これらを上手に活用しましょう。
実はこれはキャンバス素材の靴だけではなく、多少の違いはあるものの、革など他の素材の靴、また靴だけでなく鞄などの保管でも言えることです。オフシーズンで長期間保管する前には、少しの手間でも結果は大きく違ってきますので、これらの対応をしっかりとしてから、しまいましょう。これだけであなたも今日から保管のプロです!
それでも残念ながらカビや黄ばみが発生してしまった場合は、クリーニングのデアの靴クリーニングでメンテナンスを承ります。諦めてしまったり、焦ってご自身でご対応する前に、まずはお気軽にお問い合わせください。